往復書簡・映画館の話をしよう「映画館で寝ること③」(大浦奈都子)
山口さん、お返事ありがとうございました。
そんな!お客さんが寝ていて怒ったり呆れたりするわけないじゃないですか!映画といつ何時も真剣に向き合え!なんてスパルタ映画館ではありませんのでどうぞご安心ください。笑
それにしても、今回たくさんコメントをいただけて嬉しいですね。映画館での睡眠体験はこんなにも人を饒舌にするのか!と意外で愉快でした。きっと皆さん、少しの罪悪感を抱えて映画館でスヤスヤしているのでしょう。
最初のお題「なぜ映画館が好きか」でも話題になりましたが、やはり映画館って暗いですものね。それに心地よい椅子だったりして。さらに映画の音が心地よい子守唄になってくれたりして。
たまに、SNSやなんやらに「シネマスコーレの椅子が心地良すぎて寝てしまった」という、かわいらしいコメントを目にします。これ、嬉しいんですよ〜。映画館としてひとまず、心地よい場を提供できたわけですから。
さてさて、お客さんを起こすお話です。
13年くらい映画館で働いて、今まで10回もないのではないかな?なかなか慣れないレア業務。年代性別様々な人を起こしてきたけれど、どの客さんも必ず、とんでもないスピードで劇場を後にするのだけは同じです。
はじめは控えめな声で「おきゃくさま・・・?お客さま〜〜終わりましたよ〜〜」・・・起きない。
意を決して肩をトントンと叩き、やや声量を上げ「終わりましたよー!」と、こちらが言い終わるより早くグイッっと目を見開き、一瞬なにが起こったのかわからない表情でわたしを凝視。途端に「あっ!」と声を上げ一目散に劇場を後にします。
寝癖がついていたり服が乱れていたり、まだカバンをしっかり持てていないメチャクチャな姿勢でフラフラと走るのです。
これが起きるのはほとんど昼。
ついさっきまで暗闇の劇場で瞼を閉じ、真っ暗の世界にいた人がいきなり外へ走るもんだから、転ばないか事故が起きないか心配になります。
シネマスコーレは劇場から外への道のりが3歩くらいしかありません。すぐに太陽の照りつける外に出たあの人たちは、きっとその眩しさにクラクラしているのでしょう。
どんなことを考えているのだろう、寝たことを後悔したり恥ずかしがったりしているのだろうか。
こんなこと言っておきながら・・・わたし、あなたのなかなかな寝顔、見ましたよ。椅子から体、なかなかにずり落ちていましたよ。うふふふふ。でも、恥ずかしがらず映画、また見にきて欲しいのです。ほぼ寝顔しか見ていないからお顔覚えていませんし・・・わたしだって、映画館でしょっちゅう眠りに落ちる仲間なのだから。
ちなみにわたしは、映画館の中でも必ず夢を見ます。けれど残念なことに、映画の続きを夢で観たことがありません。いつも全く違う物語が夢の中で進行されてしまうのです。いつか、いつか、夢の中で映画の続きを観る体験をしてみたいなんて、小さな願望を抱いています。
以上、「映画館で寝ること」でした!
ではでは、次のお題です。
「映画館でのわたしの流儀」でお願いします!
好きな席のお話みたいに、「ドリンクやおやつは買う?」「チケットは予約して行く?」「観る映画をどう決める?」などなど、人によって映画館での流儀を持っていると思うので、ぜひ山口さんのお話を聞いてみたいです!楽しみにしています。