往復書簡・映画館の話をしよう「映画館とチケット①」(大浦奈都子)
山口さん、「映画館と匂い」ありがとうございました。
とってもやる気が出るお手紙でした。
「匂いのトランスフォーマー」!笑
まさに満席になったシネマスコーレでよく起こりますね。特に手に汗握るような2時間を体験したお客さんから出る熱気は場内の温度もグッと上げるようで、「ウゲー!」と思いつつ、それを嗅ぎに行ってしまう山口さんの意見もよくわかります。近年清潔であることに慣れすぎて、さらに敏感になっていたのかなぁ。もう少し頭
を柔らかくして、映画館というものを楽しまなければと思います。
さてさて新たなお題「映画館とチケット」ですね。
実は、わたしも次に同じお題を出そうと思っていました!奇遇ですねぇ。
山口さんは映画館のチケット、取っておくタイプですか?
わたしはですね、中学生になってからほとんど全てのチケットを取っておくほど、映画館のチケットに特別な愛着があります。
もともと収集癖がありまして、映画だけでなくライブとか、美術展とか、チラシとか、思い出の品はなかなか捨てらません。付けないくせに買ってしまったキーホルダーや、これなら使う!と思って買ったクリアファイルやボールペンが部屋中に溢れています。
その中でも映画館のチケットは、中学生時代からそれはそれは大切に、無印良品の小さなアルバムにファイリングしていました。大学生になってからは、それはそれは乱雑に引き出しの中に放り込んできました。ちょうど今年、「好きな映画を語るように好きな映画館を語ろう!」と思い至った頃、実家の引き出しを開け、チケットを整理してみたんです。
まず無印のアルバムの1枚目は2005年『スター・ウォーズ エピソード3』。場所はワーナーマイカルシネマズ豊川(現:イオンシネマ豊川)。そうか、豊川まで観に行ったんだなぁ。地元の岡崎で観たのだと思い込んでいました。他にも、名演小劇場の小さいチケット、お財布の奥からよく出てきたなぁ・・・とか、レディースデイばかりお世話になっているなぁ・・・とか、自由席から指定席に変わったらチケットも変わっているなぁ!とか。
え!この映画、あそこの映画館で見たの!?も多数。
お気に入りの映画を数年後に見直すと、記憶していたシーンと全く違うことに愕然とする・・・なんてことありませんか?それと同じようなびっくり体験です(違うか)。記憶って信用ならない。
なんて思いつつ、チケットでたどる脳内映画館旅行はやめられません。(トップ画像の実家の絨毯にて)
東京の映画祭に経費で行かせてもらったくせに、途中でサボって観に行ったシネマライズの『ヒトラー暗殺、13分の誤算』。すでに閉館が発表されていました。
『彼女がその名を知らない鳥たち』は渋谷のどこで観たのかわからなくなっていたけど、シネパレスだった。今はシネクイントになっている。行かなくっちゃ。
旅行先で行った初めてのミニシアター、シネモンドのチケットかわいい!
ページをめくるたびに、ひとつひとつの映画と映画館、そしてその行程がよみがえり、思い出がぶくぶくと溢れ出してきます。取っておいて本当に良かった。
チケットって映画館によってさまざまで、タイトルと日付、値段、ちゃんと西暦も書いてあって、うすーーくなってほとんど読めないタイプの物や、今でもしっかり印字されたままのもの、料金だけ記載されているもの、そして懐かしの票券(最近呼び名を知りました)!などさまざまです。
こまめに取っておいた自分に感心したわたしは、新しいクリアブックを買い、引き出しのなか乱雑に仕舞われたチケットをまとめ始めました。ポケットやカバンに入れてくちゃくちゃになっているもの、そしてコロナによりチケットが1枚もなかった2020年のあの1ヶ月間も思い出しながら。
・・・なーんて、チケットのない映画館スタッフからのお便りでした。
いつか予約を導入する未来が来るとして、どんなチケットが良いだろう?やはりシステム上、チケットの種類は決まってしまっているのかなぁ。