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映画を映画館で観たくなくなる日がくるなんて

うん。 結論から言うと、もう観たくないね。
「ならぬ堪忍 するが堪忍」って言うだろ?
でもね。堪忍袋の緒は切れてた。とっくのとうに。

“堪忍”って凄い言葉だよな。“堪” と 忍” だもの。
書いて時のごとく。堪え忍ぶ。それが堪忍。

のっけから堪忍堪忍言ってると、
『カンニング・モンキー 天中拳』なんかを思い出す。
『ザ・カンニング [IQ=0]』なんてのもあったな。
その流れで『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』
なんてのもあったけど、タイトルに堪忍が無い。
これは堪忍できないな。(なんでやねん)

もう何年前からだろう?
映画館で映画を観るのに堪忍しなきゃならなくなったね。
堪え、忍ぶ。堪え忍びながら映画に臨む。
何を堪え、何を忍ぶのか。俺はスマホだな。
今はスマホ。以前は携帯。
俺的映画館条例違反の同列に上がる“飲食問題”もあるが、
こればかりは個人のモラルに委ねるしかない。
度を越す場合は別だけど、売ってる以上仕方ないし、
映画館の貴重な収入源なる話はここではしない。

小学生の頃から映画館に行ってた俺。
さすがに「通ってた」とまでは言えないが、
家じゃテレビで映画。たまに映画館って奴だった。

地上波なんて言葉すら無い、
地上波しか無かったテレビ時代。
一週間、毎日のようにテレビでは映画を放送していた。

月曜ロードショー
水曜ロードショー(のちの金曜ロードショー)
木曜洋画劇場
ゴールデン洋画劇場は土曜日だったな。
そして日曜洋画劇場もあった。

いつ頃だったか定かではないが、
どっこい火曜日にも映画が放送されてた時期もある。
深夜に至っては曜日を問わず、出ては消えだった。
バブルの頃なんかは年末年始の深夜枠になると、
映画が二本三本と放映されるもんだから追いつかない。

19の頃か。近所にレンタルビデオ屋ができた。
数ある大手じゃない個人店だったと思う。
一本500円くらいしたから、いま考えるとエライ高いわ。
だけど、公開後の映画が即ソフト化(今じゃ配信)される、
そんな時代じゃなかったから、次から次に借りたっけな。

詳細な時系列は朧気だが、レンタルビデオ前後か?
いよいよ地上波以外が台頭してくるようになった。
WOWOWのBSとか、DirecTVだったかな?CSも出た。
スカパーがいつ頃から始まったか記憶にないが、
BS・CSの類いと縁が無かった俺は契約しなかった。

時代と共に地上波での映画放送枠が縮小されていく。
レンタルビデオ店内にDVDが幅を利かせはじめ、
レンタル価格はどんどん下がり、旧作100円とか、
キャンペーンで一本10円(十本まで)等もあった。
単館の映画館もシネコンに取って代わられてゆく。
ミニシアターもオープン&クローズが激しい。

「それでもやっぱり映画は映画館で観ていた」

小学生の頃から映画館で映画を観る。
中学生、高校生時代も然りだ。
専門時代、大阪の深夜上映中、女を連れたオッサンが、
俺の隣で隠れてタバコを吸い始めた時があった。

「タバコやめろや」(俺はノンスモーカーだ)

おっさんは、あろうことか、
足を組んでいた俺のコンバットブーツを指して言った。
「お前も(ワシの服を)汚すなよ?」
たしか観ていたのは『ハンバーガー・ヒル』。
狂犬と呼ばれた武闘派のツレとふたりで観ていたので、
そのオッサンが上映終了後どうなったかは想像に任せる。
(なんにもないけどね・笑)

そう。映画館で堪忍するなんて余程のことだった。
新宿東急だったかオデヲンで、深夜『レオン』を観た。
半径数メートル以内に猛烈に足の臭い奴がいたらしく、
隣のツレ(さっきとは別の奴)が周囲に憚ることなく言った。

「臭くてたまらねえ!」

その後、強烈な足クサ臭は消えた。
強烈な足クサ臭のあとに、飲食の話もどうかと思うが、
遥か記憶を遡っても、隣でマック食って洋画、もとい。
隣でマック食ってようがポップコーン食ってようが、
今の今ほどじゃなかった。比較するにそれが、
いわゆる “寛容”
寛容な時代だったのかも知れない。

現時代の不寛容。そこに至る原因は多々あると思う。
最終的には個人個人が最大限尊重され過ぎること。
多様性に言葉をすり変えたそれは、他人の尊重は後回し。
俺、俺、俺。 私、私、私。
結論はそれに尽きるんじゃないだろうか?
だから当然に・・・長きをかけて、
俺も時代に馴染み過ぎてしまったのかも知れない。

古い話で恐縮だけど、
映画なんて今じゃ金払っても一回しか観られない。
金払って好きなだけ観られた時代の、今から思えば
なんと大らかなことよ(遠い目)。
上映後、いつ入ろうと自由だった。
時代が時代だし、途中から観始めて本編が終わる。
次の回。観始めたところまで観たら帰る。
そんなのゴロゴロいた。だから、どこか呑気だった。
緩かったよ。遅れて入ってもノープロブレム。

でも、みんながみんな。周りがそうだったから、
入退場に際して、よっぽど邪魔しなきゃお互い様だった。
ポテチ食ってる奴はいる。ドリンクの氷ガラガラもいる。
音だの匂いだの。ナニもカニも、総じて言えば、、、
上映中、何某かワサワサしてた。それが普通。
笑いたきゃ笑った。泣きたきゃ泣いた。
映画だもん。感情は爆発させてたよ。
それが映画館。それが娯楽。腹なんて立ちゃしなかった。

単館時代がシネコンに取って代わられてどうなったか。
完全入替制。観たい席も自由に、そして確実に取れる。
たしかに良いことだが、毎回スカスカ状態も生んだな。
これは奇跡的な貸し切りで観たことのある俺も、
空いてたら嬉しくは、ある。(両隣ギチギチよりはな)

しかし、だ。
毎回スカスカ状態の弊害は音だのナンだのが目立つ。
心理としては、両隣ギチギチじゃないから気が緩む。
気が緩むとダラける。「ちょっとなら」と気を抜きだす。
(あくまで抜き出す奴もいる、ってことだ)

携帯電話がひとり一台の時代になり、
「周りに誰もいなきゃ」と勘違いしてるのかしてないのか、
どっこいお前の携帯光源は周囲に迷惑をかけている。

今現在、い~~~~~加減、着信音を響かせる奴は減ったが、
携帯がスマホになり、SNSはじめ様々な別の着信音が鳴る。
「飲んだら乗るな」「乗るなら飲むな」。飲酒運転と同じだ。
映画館が示す対策は「鑑賞中は電源を切りましょう」これだけだ。
でも、これで十分なんだ。ホントはね。

そんな注意喚起で電源切る奴はいないから強く出ろって話。
観る作品によるが、俺にとっちゃ着信音(一瞬のSNS等)だって
テロみたいなもんだ。金払って一回しか観られないのが台無し。
よしんば犯人が料金弁償したって怒りは収まらない。
もう一回観れば済む話でもないんだ。

映画鑑賞マナー? 冗談じゃない。
最後は携帯・スマホ持ち込み禁止の“ルール”でいいよ。
毎回毎回毎回毎回。金払ってイヤな目に遭う。
それでも以前は当たり回とハズレ回とあった。
それが段々、「今日はハズレないように」と願うばかりになり、
今じゃほぼ100%ハズレだ。

あらゆる曜日。あらゆる時間帯。
サービスデーはハズレ率高いとか、
平日の午前中なら当たるか?とか、
結果年配者が多くてハズレとか、
レイトだとハズレ率高いとか、さんざんぱら試した。

「もう、今や当たり回なんて無い」ことに行き着いた。

そもそも当たり回なんて言い方自体が異常だろよ?
年々上がる料金のことは、映画ずきとして言わない。
だが、しかしだ。
毎回、毎回、責任者に改善要求を直談判しても、
もう何年も何年も何年も、悪化の一途しか辿ってねえじゃん。

映画は映画館で観るもんだよ。
映画は、作った、関わったすべての人たちの結晶だからな。
良作・傑作・駄作なんて問わずだ。
その作品に。物語に出会う大事な場所が映画館なんだ。

極上の料理を食べに行って、
毎回毎回ゴキブリがウヨウヨしてたらどうだよ?
料理どころじゃねえし、旨いもマズイもねえだろ?
せっかく旨い料理は、誰のせいで最悪の思い出になるんだ?
せっかく楽しみにしてる映画が台無しにされるのは何故なんだ?

スマホの電源切らない奴を看過してる映画館のせいだろう。

ホントのホントの悪人は、スマホを切らないバカだ。
言っとくけど、俺の隣に座ってスマホなんざ見たら抹殺だよ。
でも俺はスマホホイホイじゃねえし、
目が届く、手が下せる範囲とは毎回毎回限らないわけだよ。
注意したって気分悪いし、食ってかかられたことはねえけど、
その一瞬、一回が映画をズタズタにするんだ。

俺みたいに実力行使に出られない客だって大多数いるだろう。
「何かあればスタッフに~」じゃねえっつーの。アホか?

映画館が客のモラルに委ねてるこの何年は、
毎回テロで踏みにじられてる客の怨みや犠牲を生んでんだ。
4DXだの作ってないでスマホ問題撲滅対策に金かけろよ?

マジな話でさ。
スマホ問題撲滅委員会でも結成しようか悩んだのね。
俺ひとりでも、たすき掛けて拡声器持ってさ。
以前、立川のシネマシティなんかは上映前に
スタッフさんがスクリーン前に立って、注意喚起してたよ。
(なんかコロナでそれもなくなったみたいだけど)

でね? ここまで言っても無視するならな?
殺人事件でも起こせば社会問題化して、
映画館もいよいよ本腰入れるんじゃねえかとか、
アホなことも考えるだけ考えて勿論やめたけどな・爆
当たり前だよ、馬鹿らしい。人柱にゃなりたくないし、
それこそ俺がテロリストになってどうすんだバカって話だ。

テレビ映画がレンタルビデオになり、
レンタルビデオがDVD、さらにすっ飛んで今じゃ配信だ。
勿論その配信だって、される作品されない作品とあるわ。
だから映画は映画館で、その時に観るってのがスジなんだ。

でも、もうやめた。
そういう時代になったんだ。

人は変わらない。
時代も戻らない。
勿論、映画館も変わらないだろう。

「なら、どうする?」

映画館なんぞに行って決して安くない金払ってさ。
たったの一回しか観られないってのに毎回腹立って。
俺はもう御免だわ。
映画ずきの原始人が時代について行けず淘汰されてった。

ただ、それだけのことなんだよ。







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