WAR OF THE WORLDS / 宇宙戦争(2005年6月29日劇場公開)
スティーブン・スピルバーグの残酷描写がその頂点を極めた映画を見直しました。
"WAR OF THE WORLDS" という原題からいわゆる異星間の戦争とはっきりわかります。"THE WAR OF THE WORLDS"というタイトルのH .G.ウェルズの原作よりも世界観が大きいです。
その大きな物語を極小の微生物描写から始めるスピルバーグの並々ならぬ再映画化への決意がわかります。そしてこの映画が今日なお現代性を失っていないことが最初に磁気嵐が確認された場所がウクライナだということからもわかります(偶然かも知れませんが、これには驚きました)。
ヤヌス・カミンスキーのドキュメンタリータッチの映像はこの物語がリアリティの延長線上にあることを突きつけて止みません。そして恐怖の対象であるトライポッドが絶望的なのは、それを目撃するレイ・フェリエ(トム・クルーズ)、レイチェル(ダコタ・ファニング)、ロビー(ジャスティン・チャトウィン)の絶望を通して我々が目撃するという二重構造だからです。これはスピルバーグの映画に頻発する特徴です。映画ってやはり見上げるものなんだなという揺るぎないテーゼがそこにはあります。
バイロン・ハスキン監督による最初の映画化作品から始まった「宇宙戦争」的なアイロニーの反復は人類の無力感に根ざしています。2023年2月6日未明にトルコで起きた強い地震の映像を見ていてもそう思わざるを得ません。
ここからは脱線しますが、一応『新・宇宙戦争』が本作の物語上の続きということみたいです。
アサイラム製作でカタカナシンの宇宙戦争もあります。商魂逞しいですね。
プリクエルとして『宇宙戦争ZERO』というのもあるみたい。
本作と同じ2005年に公開された『H.G.ウェルズ 宇宙戦争 ウォー・オブ・ザ・ワールド』はモックバスターの中でも評価が高いようです。
もうすぐ『フェイブルマンズ』も劇場公開されるので、本作を見返すのはちょうどいいタイミングだと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?