KLONDIKE / 世界が引き裂かれる時(2023年6月17日劇場公開)
どうして原題がクロンダイクなのかはシネマジャーナルさんのブログに詳しい。
突然に家に空いた大きな穴。爆撃の跡です。いわゆる流れ弾です。こうやって人々が戦争に巻き込まれていくという無常感を見事に表したショット。
マリナ・エル・ゴルバチ監督が選んだ演出方法が実に効果的。戦場における無常感を冷徹に切り取っています。2020年の製作なので2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以前において既に予見していたわけです。戦争に無関心でいても、中立の立場を取ろうとしても、その土地の支配者側につこうとしても結局は戦争に巻き込まれてしまうのです。私たちはその無常感が映画館のスクリーン一杯に広がる様をただただ見つめるしかないのです。物語的にはその無常感を伝えるために、他者に対する無関心をこれでもかと見せるのです。そんな伝え方をしないと伝わらない残酷さがそこにはあります。
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