RED JOAN / ジョーンの秘密(2020年8月7日劇場公開)
日本では立秋に公開されるこの映画、実に見応えがありました、2つの理由で。
最初の理由は、もちろんジュディ・デンチの説得力のある演技です。派手なアクションをするわけではないのに、彼女の激動の人生における行動動機をその表情で物語るのです。
ほとんどのシーンでこのように尋問を受けています。その表情だけでで過去パートでの彼女の想いをはっきりと観客に分からせてくれます。まるで『アマデウス』のサリエリのようです。
もう一つの理由は、若い頃を演じたソフィー・クックソンの溌剌とした演技です。喜びも悲しみも体現させられる彼女の人生物語に完全に虜になりました。
物理学を学んだケンブリッジ時代の喜びの多い日々から、
核兵器開発機関の事務員として働いていた頃の充実の日々を経て、
第二次世界大戦から冷戦に至る歴史に翻弄されるまでを実にヴィヴィッドに演じています。
イギリス郊外で穏やかな一人暮らしを送っているところから、解き起こされるこの実話に心を打たれました。
イタリア版では「母親、愛人、裏切り者、スパイ」と紹介。原題の「アカ」をジュディ・デンチの表情全体にあしらった、ちょっとセンセーショナルなポスター。
日本版のポスターの方が、ジュディ・デンチをより引き立てたレイアウトです。こういう衝撃作は滅多にないと思います。
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