ABE / エイブのキッチンストーリー（2020年11月20日劇場公開）
イスラエル系の母とパレスチナ系の父を持つ12歳の少年エイブの料理に関する話、これが楽しくてちょっと悲しい。
泣き崩れることもあるよね。イスラエルとパレスチナの問題は歴史的にも根が深いからそう簡単には解決しません。そのことをよくわかっている作り手の静かな告発です。
基本的には料理シーンがたくさん出てくる、明るい映画です。ドキュメンタリー出身のブラジル人監督フェルナンド・グロスタイン・アンドラーデの料理場面は臨場感があります。
やはり少年の眼差しを撮らせたら抜群にその心情を捉えるのが上手い、イタリア人のブラスコ・ジュラート（『ニュー・シネマ・パラダイス』を撮影）がエイブ少年の心の内に迫ります。
この父母と祖父母が問題なんです。政治の話を食卓に持ち込まないようにとわかっていながら我慢ができないんでしょうね。『家族ゲーム』もそうでしたが食卓は家族の問題を象徴します。
ブルックリンで屋台を出していたチコと知り合って料理を教えてもらうことになるエイブが自分の居場所を探す物語です。短くて後味は爽やか。
いいなと思ったら応援しよう！
