中国第六世代監督作品を観る。SO LONG, MY SON / 在りし日の歌(2020年4月3日劇場公開)
最初はこの映画の鍵となる出来事を遠くからしか捉えていなかった映画の視点が、物事の核心へと迫っていくストーリーテリングの妙を存分に味わいました。
二組の家族を巡る30年クロニクル。『ストーリー・オブ・マイ・ライフ / わたしの若草物語』と同じように過去と現在がシームレスに描かれます。
ワン・ジンチュンとヨン・メイの夫婦演技は親密さと、もどかしさを繊細に表現していて、第69回ベルリン国際映画祭主演賞ダブル受賞。アウグーリ!
一人っ子政策の悲劇が重くのしかかる映画ですが、185分の長尺に付き合うと骨太なドラマを見た充実感があふれてきます。朝ドラをイッキ見した感じです。
それから、この映画のタイトルの出し方、そのタイミングに思わず涙がでます。ああ、だからSO LONG, MY SON(久しぶり、我が息子よ)なんだなと。ワン・シャオシュアイ監督の卓越した映画センスだと思います。
中原中也の第2詩集と同じ邦題の理由は、この映画で描かれている出来事が中原中也を襲った悲劇と同じだからだとしたら、配給会社の担当者は余程の文学好き。