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THE POPE'S EXORCIST / ヴァチカンのエクソシスト(2023年7月14日劇場公開)
”悪魔は存在する。今でもー”という宣伝文句にするからにはその根拠があるわけです。実在するチーフ・エクソシスト、ガブリエレ・アモルト神父の手記の映画化だからです。悪魔祓いが存在するのだから悪魔も存在するという論法です。
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調べてみるとガブリエレ・アモルト神父はなかなか興味深い人物だったようです。
興味のある方はスミソニアンマガジンの記事を参考までに引用しています。
(記事翻訳)2016年に亡くなる前、ガブリエレ・アモルト神父は10万件以上の悪魔祓いを行ったと主張。バチカンの公式エクソシストとして働く彼は、多くの人がホラー映画以外で見たことがないようなサービスを行った。今、彼の物語が映画の原作となっている: ラッセル・クロウ主演の『ヴァチカンのエクソシスト』である。1925年、イタリアのモデナで生まれたアモルトは、第二次世界大戦中にイタリアのレジスタンスに参加した。法学部を卒業後、ジャーナリストとして活躍し、1951年に神父となった。1986年、ローマ教区のエクソシストであるウーゴ・ポレッティ枢機卿の補佐役として任命され、その後、同枢機卿の後を継いだ。1986年、ローマ教区のエクソシスト主任であるウーゴ・ポレッティ枢機卿の補佐役に任命され、後に後任となる。1990年、『エクソシストは語る』を執筆し、30カ国語に翻訳されベストセラーとなる。同じ頃、アモルトは国際エクソシスト協会を設立した。現在も存在する同協会は、この新作映画に眉を顰めている。「ドン・アモルスのエクソシストとしての経験を語るこの方法は、歴史的現実に反していることに加え、本当に憑依された人々のエクソシズムの間に本当に生き、経験したことを歪め、改ざんしています」と、カトリック通信社のケビン・J・ジョーンズが伝える声明の中で同協会は述べている。悪魔祓いは、キリスト教において長い歴史を持っている。この習慣は新約聖書に登場し、マルコの福音書ではイエスが悪霊を追い出す様子が描かれている。新約聖書を専門とする神学者ロブ・ハスケル氏は昨年、History.comのエリザベス・ユウコ氏に「イエスの悪魔祓いは、悪魔に対するイエスの権威を示す証拠であった」と語った。"それらは、彼が霊的な力を持っていることを示した。" プロテスタントは悪魔祓いを行っていたが、1600年代ごろから流行らなくなった。今日、悪魔祓いは主にカトリックと関連している。最近では2017年、ローマ法王フランシスコが神父たちのグループに、必要なときにエクソシストを呼ぶことを「ためらうべきでない」と告げた。悪魔祓いは、長い間、ハリウッドやホラーファンを魅了するテーマ。最も有名なのは「エクソシスト」(1973年)である。アモルスはこの映画のファンだった: 数十年後、この映画の監督であるウィリアム・フリードキンに会ったとき、自分は悪魔を恐れていない、むしろ悪魔が自分を恐れていると説明した。「悪魔がなぜ私を怖がるかわかるか?なぜなら、私は彼よりも醜いからだ」と、アモルスは2016年の『ヴァニティ・フェア』のインタビューでフリードキンに語っている。意外なユーモアのセンスを持つことで知られていたが、彼の仕事内容を考えると、アモルスは自分のやっている仕事は本質的なものだと信じていた。生涯を通じて、何万回もの悪魔祓いの儀式を行ったと主張している。AP通信のディーパ・バラスによると、アモルスは、自分を求める人の98パーセントは、エクソシストではなく、精神科医を必要としていると述べている。しかし、彼の関心は2パーセントにある。カトリック社会では『ヴァチカンのエクソシスト』に批判的な意見もあるが、この映画の製作総指揮者の一人であるエドワード・シーバート(イエズス会司祭)は、アモルスのような男性を肯定的に捉えることが目的であると主張している。「祈り、許し、神の愛、そして悪魔退治について語る神父を見るのはいいことだ」と、シーバートはAP通信に語っている。"司祭がヒーローであることをようやく確認できたのはいい気分だ"
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映画の方は、ド派手なホラーアクション映画です。エンターテインメントに振り切っています。ガブリエレ・アモルト神父(ラッセル・クロウ)が親父ギャグ好きのヒーローとしてわかりやすく描かれています。
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一緒に闘うエスキベル神父(ダニエル・ゾヴァット)とともに過去のトラウマを悪魔に突かれてピンチになる場面とかどんだけステレオタイプなのと思いましたね。悪魔祓いの舞台をスペインにしたのはカトリックの黒歴史に基づいているのですがそういう歴史的な掘り下げはそこそこに、あくまで映画の盛り上がりとしての悪魔祓いでした。
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物語をペダンティックな方向に持っていくと映画がまとまらないのでこの選択は良かったと思います。まあ言うなればエクソシスト・ライドです。
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