A BEAUTIFUL DAY IN THE NEIGHBORHOOD / 幸せへのまわり道(2020年8月28日劇場公開)
前作『ある女流作家の罪と罰』が日本では劇場公開されなかった、マリエル・ヘラー監督の新作が劇場公開です。
本作も実話が元になっていますが、映画の構成に巧妙な仕掛けがあります。
エスクァイア誌記者のロイド・ヴォ―ゲルと、子供向けテレビ番組の司会者、フレッド・ロジャース(Fred Rogers,1928~2003)との親交を描いた映画。
フレッドを演じるトム・ハンクスの演技は今回も群を抜いて上手いです。私たちの時代を代表する俳優です。
ロイド役のマシュー・リスは幸せな家庭を築いていながらある悩みを抱える雑誌記者を繊細に演じています。
ニューヨークの風景が度々映りますが、なんとも言えない味わいがあります。この映像には誰しもが懐かしいと思う仕掛けがあります。
こちらが、本物のフレッド・ロジャース。『ミスター・ロジャースのご近所さんになろう』というドキュメンタリーを観るとその人物像が良く分かります。
その柔和さが滲み出る表情が似てるからこそのリアリティがあります。
このエスクァイアの1998年11月1日発売号の記事がこの映画の原作です。
小さな物語ですが、「どうやって人は人を許すのか」というテーマがシリアスに心に響いてきます。基本的にはユーモラスな作風です。
日本版ポスターのシーンは本編には出て来ません。でもいいショットです。
夏の終わりまたは秋の初めにぴったりの映画だと思います。