PINOCCHIO / ピノッキオ
2019年のクリスマスにイタリア本国で公開された話題作。監督はマッテオ・ガローネ
カルロ・コッローディの原作を忠実に再現しようとした試みは評価しますが、肝心の映画としての盛り上がりにはことごとく欠けていました。
サクラ爺さんから、動く木を譲り受けてピノッキオを作るところから丁寧に物語を紡いでいます。
今の時代の映像技術で最初にピノッキオが登場した時には感動しました。が、すぐに慣れてしまいます。
ピノッキオの造形をリアルにし過ぎて、木の質感ばかりが目立ち、結局表情の少ない男の子の不幸話。
基本的にどのシーンも物悲しげに見えちゃうんです。それは感情を排除する方向に働き、映画全体が凄くドライな印象。
有名な鼻が伸びるシーンも、物語上のお約束としてだけの描き方で、見せ場にすらなりませんでした。
イノセンスを巡る裁判官とのやりとりの場面にこそ鼻が伸びるシーンが必要でした。
擬人化された狐と猫とのエピソードも淡々と描かれた為、印象が薄いです。
「最も愛された寓話の実写化」という宣伝文句に偽りはありませんが、マッテオ・ガローネが監督である意義が見出せない、平凡な映画でした。