你好、之華 / チィファの手紙(2020年9月11日劇場公開)
「ロケ地の大連は母の生まれた場所だったので、僕にとってある意味、故郷です」と言う岩井俊二監督の自作『ラストレター』の中国版リメイク。
2020年1月17日に劇場公開された『ラストレター』は岩井俊二監督のリリシズムに改めて心打たれました。
自作を中国を舞台に中国の俳優でリメイクという珍しい製作過程を辿った映画。ストーリーは基本的に同じ。でも国と演者が違う事で映画の印象も大きく違いました。
映画の差し色が水色ですね。日本版はどちらかというと緑色でしたから。
ネイルの水色はジョウ・シュンの提案で決めたらしく、この映画のトーンを支配しています。
サーラン・(回想)チィファ(チャン・ツィフォン)とムームー・(回想)チィナン(ダン・アンシー)。現在の従姉妹と回想の姉妹を行き来する構成も同じですが、回想部分の全体に占める比重が軽い印象。
これらの印象的なシーンも、遠い過去という印象。つまりその分現代パートがよりクローズアップされていました。
当初、チェンチェンはサーランの弟の設定だったが、一人っ子政策の時代に姉弟がいるのは不自然との指摘があり、貧しいチィナンの家にふたり子供がいて、きちんと届けを出さずに育ててきたというリアルなシチュエーションに変更。ムームーの弟となったチェンチェン役が大きな変更というかローカライズ。これは説得力がありました。
好きなクラッシックの楽曲を別のアレンジで聴いたような新しさと懐かしさが同居する不思議な印象を残すリメイクです。
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