GIVING BIRTH TO A BUTTERFLY / 蝶を産む
インディーズ映画、77分の中編。テオドール・シェーファーの監督デビュー作。
画面のサイズが16mm、この不思議な物語のフレームには必要なサイズ。
主人公、ある家族の母親ダイアナ(アーニー・パリッセ)と息子の恋人マレーネ(ガス・バーニー)の小旅行が中心エピソード。目的地の番地にたつ家の呼び鈴を鳴らした際の不安な二人の顔がキーヴィジュアル。
人生における不安とその克服へのヒントがテーマでしょう。村上春樹の短編『ねじまき鳥と火曜日の女たち』の映画化のような作品。
マレーナの母親(コンスタンス・シュルマン)はおそらく認知症で完全に妄想の中で生きています。
電車に乗る主人公のショットなどはまるで黒沢清映画のよう。そんな印象的なショット、人生を不安を想起させるストーリー展開、遠いところから聞こえてくる音響の効果。映画の文法を新しく構築しようとしている詩的な野心を感じます。
どんな映画かということに関しては、AWFJ(女性映画ジャーナリストアライアンス)のアレクサンドラ・ヘラー=ニコラス氏のレヴューが参考になるかも知れません。