THE CARD COUNTER / カード・カウンター(2023年6月16日劇場公開)
噛みごたえのある映画です。最初は静かな物語が大きくうねります。
この感覚は同じ座組みで製作された『タクシードライバー』と一緒です。本作の本国でのキャチコピーは”彼は配られた手配で勝負をしているのだ”という意味深なコピー。
イタリア版ポスターのキャッチフレーズは”偶然に起こることなどない”。つまり全ての出来事には理由があるという意味です。
表向きのストーリーはウィリアム・テル(オスカー・アイザック)がカード・カウントの技術を駆使してギャンブルをして全米を渡り歩くというもの。その裏側にあった大き過ぎるトラウマが物語の行く末を捻じ曲げます。
そのきっかけとなるのがカーク(タイ・シェリダン)との出会い。唐突とも思われる出会いが物語の結末に響いてくる構成がさすがポール・シュレイダーの脚本だと思います。
日本版のポスターは”『タクシードライバー』のコンビが再び手がける復讐と贖罪の傑作スリラー”となんの芸もありませんね。こういうところに日本の洋画宣伝の劣化を感じます。