THE DIG / 時の面影(2021年1月29日配信公開)
人気俳優陣の見応えのある演技、特に撮影が素晴らしいプロダクション、アカデミー賞候補になってもおかしくない作品。
ズバリ「掘る」事を描いた映画、場所はイングランド・サフォーク(東海岸)。掘るのは遺跡です。
このポスターにも使われているキーヴィジュアルの陽光溢れる印象的なシーンは主人公のプリティ(キャリー・マリガン)のライフステージの象徴。その頃は戦争の足音もまだ遠く、彼女の病状の進行もそれ程深刻ではありません。
映像の色調が実にコンフォーティング。そしてだんだん画面に暗雲が立ち込めてきます。1938年の物語。対ドイツ戦争にイギリス参戦前夜の緊張感が伝わります。
レイフ・ファインズが演じるバジル・ブラウン(アマチュア考古学者)とプリティの家族との交流が映画の主筋です。
リリー・ジェームズも途中から物語に絡んできますが、ちょっともったいない使われ方。要するにあんまり重要な役ではありません。
掘り当てた遺跡が国宝級で、その採掘現場の再現は良かったです。写真は本当の採掘現場。
サットン・フーと呼ばれるその船葬墓の貴重な出土品は大英博物館に所蔵されています。
その出土品の運搬に芝生を使っていたのは勉強になりました。
それだけの出土品ですから、国が黙ってはいませんよね。その辺のサスペンスもちょっと隠し味程度ですがあります。
やはり映画の神は細部に宿るという事ですね。あまり知られていない考古学の興味と人々が戦争ひいては人の死を当時どのように捉えていたのかという興味がこの映画を見る動機です。
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