COLECTIV / コレクティブ 国家の嘘(2021年10月2日劇場公開)
ガゼタ・スポルトゥリロル紙の編集長を務めるスポーツ記者、カタリン・トロンタンによる投石が大きな波紋を広げていく様はエキサイティングでした。
ついには内閣が辞職に追い込まれ、新しい保健相、ヴラド・ヴォイクレスクが就任。後半は彼による既得権益者への切り崩しが描かれます。
所々に、全ての発端となったコレクティブ火災の被害者、テディ・ウルスレァヌの自らの傷ついた身体を被写体にした写真撮影の様子と、その展示会が描かれます。こういう場面を挟むことで芸術の力を肯定しているのが巧い。
この映画で問題を掘り下げていけばいくほど、より大きな闇にぶつかるという展開にドキュメンタリーの主題がよく表現されています。逆説的な結果になる選挙までで一応映画は終わりますが、この闇はまだまだ晴れていない。そこまで炙り出したアレクサンダー・ナナウ監督のバランスの取れた素晴らしいドキュメンタリー。
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