映画祭開催中・速報中間レポート カナザワ映画祭2024が9月4日より開催中! 並行開催のタテマチ屋上映画祭では大坂健太監督『団地の怪 第一部』が上映され、驚天動地のカルト作に観客がどよめいた。カルトな邦洋インディーズ作品がそろった祭典に駆けつけるべし!
タイトル写真 タテマチ屋上映画祭での『団地の怪 第一部』舞台挨拶
取材・文:後藤健児
9月4日(水)より、石川県金沢市の金沢21世紀美術館シアター21でカナザワ映画祭2024が絶賛開催中だ。2日目の9月5日(木)はドキュメンタリー映画特集となり、東ティモールの血で血を洗う闘鶏文化に密着したポルトガル映画『シカ・スバール』(ディオゴ・ペソア・デ・アンドラーデ監督)など、多くの日本人にとって未知の世界を覗ける映画がラインナップ。2日目の最終上映作品は、心に深い傷を負ったアメリカの退役軍人たちがアマゾンのシャーマニズム儀式と秘伝の薬草でPTSDを克服しようとする様子を克明に記録したアルゼンチン映画『地獄のアヤワスカ』(原題「Ayahuasca Now」は、『地獄の黙示録』の原題「Apocalypse Now」へのリスペクトだ)。上映後のQ&Aセッションは、映画祭開催施設の利用時間ギリギリまで続き、日本ではいろいろ危うそうな薬草を使った儀式への参加方法や日本でも実施できるのか等、会場に集まった皆は並々ならぬ興味を抱いていた。
3日目の9月6日(金)は良質なドラマ性の高い劇映画がそろった。カンザスシティを舞台に明日なきアウトローたちが憎しみ合うアメリカ映画『ルタ・デ・ラ・フエラ・フロンテーラ』(エリック・アトウッド監督)など、インディペンデントの純度の高さにうならされる作品ばかり。オランダ映画『アーリマン2:ドリームマシーン』は、昨年のカナザワ映画祭でも上映された、光と闇の戦いを軸に神話とSFと哲学が融合する壮大な物語『アーリマン』の第二章。上映後には、マニ・ニックプール監督やプロデューサー、撮影監督が来日登壇。ニックプール監督は二度目の来日となり、よっぽど金沢の地が気に入ったようだ。
そして、9月6日の夜はお待ちかね、タテマチ屋上映画祭2024がタテマチパーキング屋上で始まった。6日は、竪町商店街振興組合が制作支援した『団地の怪 第一部』(タイトルはラブクラフトの『ダンウィッチの怪』のもじり)がワールドプレミア。上映前には、監督と出演の大坂健太をはじめ、共演の山本真央、野澤有里、伊能昌幸、松野友喜人(VFXも担当)、そして重鎮・武田祟元が登壇して挨拶を行った。さらに松野友喜人からは近々、松野自身の進行プロジェクトについて世間に発表できるかもしれないとのサプライズ予告も。これは楽しみだ。
こうして上映された『団地の怪 第一部』。古い限界団地を舞台に、児童連続失踪事件とそれに関わっているとされる団地の怪しい住人を中心にした、予測不能の犯罪ミステリーだ。これ以上の作品内容への言及はここでは一旦、差し控えさせていただき、後日発売予定の月刊『映画秘宝』誌での映画祭特集記事に譲りたいところだが、インディペンデント体制でないと許されない、まさに超カルトなジャパニーズ怪奇映画だったということは言わせていただく。
タテマチ屋上映画祭はまだ続く。7日(土)は皆大好き『グーニーズ』が予定されており、『団地の怪 第一部』と違って、こちらはちびっ子含めて家族みんなで安心して楽しめるぞ。
カナザワ映画祭の7日(土)はいよいよ日本勢の逆襲が待っている。『いっそもう誰か俺を殺してくれ 人生なんか全部嘘っぱちじゃないか』、『キルマゲドン』、『女』、『ニューマ』の応募総数132本を勝ち抜いた強烈な4本が上映。果たして、どの作品が受賞するのか?
早くも残り2日間となったが、まだ間に合う。ココでしか体感できない映画が大半の本映画祭へ駆けつけよう!
カナザワ映画祭2024は、2024年9月4日(水)~8日(日)まで開催中。授賞式を含めた全日程の詳細な映画祭レポートは、今後発売される月刊「映画秘宝」誌で報告予定だ。【本文敬称略】