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【真夏のホラー最新作・監督インタビュー】「すべてをCGではなく、実写でやってますよ!」世界中で大ヒットを飛ばした、血まみれプーさん映画がゴア度を増してカムバック! 『プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち』リース・フレイク=ウォーターフィールド監督が愛情たっぷり血まみれの自信作を大いに語った!

タイトル写真 『プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち』より
取材・文:後藤健児

 プー IS BACK! 2023年6月に日本公開された『プー あくまのくまさん』は原作「Winnie-the-Pooh」(1926 年発表)がパブリックドメイン化したことにより実現した、心は温まらないが血沸き肉躍るゴアホラーの快作だった。製作費10万ドル規模ながら、全世界で500万ドル以上の成績を記録し、日本でもスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが寄せたコメント「こんなプーさん、見たくなかった」が話題になったことも手伝い、スマッシュヒット。
 この熱を冷まさず、監督のリース・フレイク=ウォーターフィールドは早くも続編『プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち』を放つ。今度はティガーやオウルなどの強キャラも参戦し、舞台も森の中だけに留まらず、町に繰り出して老若男女を血祭りにあげる。前作の成功により上積みされた予算はもちろん残酷描写にふんだんに使われ、ノットCGの殺戮の宴が催される大虐殺シーンは必見だ。ウォーターフィールド監督の邪悪な構想は広がりを続け、ピーターパンやバンビなども登場するシネマティック・ユニバース、その名も『プーニバース:モンスターズ・アッセンブル』プロジェクトを始動させた。次作としてピノキオを題材としたホラーを現在準備中のウォーターフィールド監督にオンラインインタビューを行い、『プー2』にあふれるホラー愛や、気になる日本の作品のことまで語ってもらった。

『プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち』ポスタービジュアル

 100エーカーの森での虐殺から生き残ったクリストファー・ロビン。事件のショックに加え、町民たちからの疑いと蔑みにより彼は心の傷を癒すことができないでいた。一方、プーは森を人間に焼かれ、安住の地を奪われつつあった。
 そんなプーの前にオウルが現れる。「プーよ……」と囁きかけるオウルはプーに人間社会への攻撃をけしかける。戦いの狼煙をあげるように自動のこぎりを咆哮させたプーは、ティガーたち心強い邪悪な仲間をお供に、ロビンの暮らすアッシュダウンの町への進撃を開始。ここに人類がいまだかつて経験したことのない異種間戦争が始まった! そして、ロビンが解き明かしたプーのあまりにも哀しい過去とは……。

邪悪な笑みを浮かべるリース・フレイク=ウォーターフィールド監督

――前作の大ヒットおめでとうございます。日本を含め、多くの国で話題となったことをどう捉えていますか?
ウォーターフィールド とてもうれしいです。ヒットしたことで続編では予算が増え、より大きな規模で物語を作れるようになりました。
――ここまで世界的に注目されたことで、ディズニーなどから怒られることはありましたか?
ウォーターフィールド ディズニーからは特に何も言われていません。というのは非常に気をつけて1作目を作ったんです。ディズニーの要素はほとんど使わず、コピーライトに抵触しないよう細心の注意を払って。プーにもほぼしゃべらせず、似せないようにしましたし、赤いシャツなどの衣装も同じものは着せませんでした。続編ではプーはもう少ししゃべりますけど(笑)。このちょっとずつしゃべるようになるというのは、今後も続けていこうと思います。
――前作より予算がアップしたことで、残酷描写などさらにこだわれた点はありますか?
ウォーターフィールド 特殊メイクに予算を使えるようになりましたし、怪物の数も増えています。今回は皆の大好きなティガーを登場させ、オウルも出てきます。撮影期間も前回は短かったですが、今回は23日間かけられました。後半の大殺戮シーンは本当に残虐なシーンにしたくて、人数がたくさんいる中で衣装や血のりにもお金をかけました。すべてをCGではなく、実写でやってますよ!

全身から邪気を放つピグレット。人間への愛情などカケラもない

――前作はストレートなスラッシャーものでしたが、今回はどんでん返しアリのミステリー要素が含まれていますね。
ウォーターフィールド 怪物たちがどこから来たのか、どういうキャラクターなのか、彼らの裏の側面、背景をもっと描きたくてああいう話になっています。また、皆さんの興味をどれだけひきつけられる物語にできるか、同時に殺戮シーンをどう効果的に見せられるのかを考えました。

子供の頃、プーと出会ったばかりに冥府魔道を突き進むクリストファー・ロビン(演:スコット・チェンバーズ)

——多くのヒットホラーには続編がありますが、参考にした続編ものは?
ウォーターフィールド 特に参考にしたものはないですね。『プー2』は続編ではありますが、キャラクターデザインや俳優、バックストーリーなど、1作目からすごい変えていて、別の作品だといってもおかしくない。ただ今後、3作目以降を作っていくにあたり続編みたいにはなっていくので、次を作るときには続編がある映画もリサーチしようと考えています。

ビーストモード全開で人間に牙をむくティガー

——シリーズ化した作品では、オリジナルの監督や脚本家から離れて別の方が担当する場合もあります。『プー』シリーズがこれからも続く場合、ご自身で手掛け続けていきたいですか?
ウォーターフィールド いま、やることがたくさんあるんです。ホラー版『ピノキオ』に関しては自分で脚本も書き、今年の10月くらいから監督として撮り始める予定ですし、そのあとの『プーニバース』や『プー3』も控えています。『プー3』あたりになると、その時点で他のプロジェクトが出てくるかもしれないので、そのときに考えたいと思います。1年に3、4本撮るとなるとクオリティを維持して全力投球するのは限界があります。『プー3』もやりたいですけどね。今後の自分のキャリアがどうなっていくかわかりませんが、次作の『ピノキオ』には非常に大きな可能性を感じています。

プーを修羅の道へ導く伝道師オウル

——今回でやり残した、続編でやってみたい残酷描写で構想しているものがあれば教えてください。
ウォーターフィールド 『プー2』で入れたかったのはプーやティガーが、殺した人の肉を食べるシーン。彼らは食べるために殺してるので(笑)。女の子の足首をもいで、その血を吸っている間に彼女が逃げようとする、そういうシーンも入れたかった。殺される人のほっぺたをちぎって食べることも考えていました。今後の作品で入れていきたいです!
——ピーターパンやバンビなどのホラー版に続いて、日本の作品で血まみれにしたいキャラクターは?
ウォーターフィールド プーやピーターパン、バンビは制作側も稼げる見込みがありますが、あまり皆さんが知らないキャラクターは賛成してもらえないんです。自分個人でオリジナルのキャラクターも考えていますが、そんなに興味を持ってもらえません。ただ、日本のアニメや漫画は好きで、例えば『チェンソーマン』、あれはもうすでにR指定のような感じですけど、あの作品の実写版をできたらいいなと。
——最後に、日本の観客へ向けてメッセージをいただけますか?
ウォーターフィールド 出てくる怪物の数が増え、殺される人数も数十人規模に拡大しました。特殊メイクもパワーアップしています。80、90年代のスラッシャー映画、ホラー映画のファンの方には必ず楽しんでもらえると思いますので、ぜひ劇場にいらしていただければうれしいです! 【本文敬称略】

オンラインインタビューを受けるウォーターフィールド監督の部屋に飾られていたチャッキー人形

『プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち』
8月9日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
監督:リース・フレイク=ウォーターフィールド|出演:スコット・チェンバース、サイモン・キャロウ
2023 年|アメリカ|英語|シネスコ|5.1ch|93 分|原題:Winnie-the-Pooh: Blood and Honey 2|日本語 字幕:中沢志乃|提供:ニューセレクト|配給:アルバトロス・フィルム|R15+ ©2024 ITN DISTRIBUTION, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

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