“映人仲間”第二回『老年・瀧井孝作役』
映画『初めての女』の原作『俳人仲間』(新潮社)になぞらえて、本作の監督・小平哲兵が撮影当時のキャスト陣とスタッフ陣を振り返ります。
石原久さん
二回目も、個人の事を書こうと思います。
今回は瀧井孝作の高年期役の石原久さんです。
石原さんは若い頃は東京で俳優活動をしていたそうですが、親の事などの事情で故郷高山に帰郷し、介護の仕事をし、奥さん、娘さんと暮らしていました。
そして、休日は地元のカフェなどで一人芝居をしていたそうです。そんな頃に、地元高山で映画を作るという事で地元のオーディションに応募して下さいました。
私が石原さんに初めて出会ったのも、このオーディションでした。事前に渡していた脚本も読み込んで、質問にも丁寧に答えて下さいました。
「もっと芝居が上手くなりたいんです」
最後に、私が石原さんに
「なぜ今回オーディションを受けて下さったのか?」と問うと
石原さんは、少し恥ずかしそうにしながら「もっと芝居が上手くなりたいんです」と答えたのです。
私は年齢を重ねても衰えない役者としての情熱に心を打たれ、石原さんに孝作役をお願いしました。
役が決まってからは何度も話し合いを重ね、私が高山にいる時は、お会いして役の事について細かく二人で分析しました。
何百回も
現場でのナレーション撮りでは、録音と私と石原さんの3人で何百回も取り直し、全力で向き合ってくれたことが嬉しかったです。
追撮最終日の雪山のラストシーン、あの横顔の表情は役を超えたお芝居です。
石原さんは身長が高くて、笑うと更にハンサムで男前の雰囲気があって格好良かった。
でも、車でかかっていた音楽は何故か『ベイビーメタル』だったのを覚えています。
「また」
追撮が終わり「また」と笑顔で見送ってくれた時の事は、今でも忘れません。
また石原さんに会いたくなったら、初めての女を見ながらベイビーメタルを聞くことにします 笑
あなたの懸けた情熱を忘れません。
ありがとうございました。
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