“映人仲間” 第一回『脚本家』
映画『初めての女』の原作『俳人仲間』(新潮社)になぞらえて、本作の監督・小平哲兵が撮影当時のキャスト陣とスタッフ陣を振り返ります。
何を書こうか?
これから映画の公開に向けて、僕の言葉と目線でエピソードを交えて丁寧に「初めての女」を振り返って書いていきたいと思います。
先日、羽石Pに創作秘話や現場エピソードで何かを書いてくれと言われ、何を書こうかなと考えた結果。
映画はいつでも総力戦で作り上げるモノなので、時間を共にし戦ったスタッフ・キャストの人柄やエピソードを振り返っていきたいと思った。
脚本家チーム
なので、一回目は脚本チームの二人を紹介したい。
桑江さんと羽石さんだ。二人とは脚本を一緒に書いたので、この作品で僕が一番長く時間を共有した二人だ。
現場では濃密な時間が瞬く間に消費されるが、脚本はそうもいかない。
今思えば、二人と過時間は深く深く作品の事を知っていく為の時間だったんだと思う。当時はとりあえず、ずっと一緒にいた。
何かといえば、どっちかと居たように思う。
北松戸のアパート
例えば、集まる理由が明確に存在しないにも関わらず、当時羽石さんが住んでいた北松戸のアパートに集合し、三人でジンギスカンを食べながら夜通し延々と作品の人物の事を深掘りしてみたり。
新大久保のファミレス
新大久保のファミレスで、原作者の瀧井孝作が「何故、晩年に『初めての女』を書いたのか?」を答えも出ないのに夕方から朝まで論争してみたり。
僕が書くことが出来なかったシーンをどっちかが書くと、書いたものについて言い合いになってみたり。
逃げずに一つ一つ積み重ねていく
それでも脚本に関しては、二人は出し尽くすが如く徹底的に逃げずに話し合ってくれた。
現場では、一つ一つが燃やしていくような消費の時間だ。
でも、いつでもスタッフ・キャストの側で脚本が羅針盤となって燃え尽きずに居てくれた。
それは、二人が面倒くさくても、嫌になっても、逃げずに一つ一つ積み重ねてくれたからだ。
最後に
その脚本への想いは、登場人物たちの台詞や動きとなって作品に映し出されていると思う。
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