“映人仲間”第三回『メイクチーム』
映画『初めての女』の原作『俳人仲間』(新潮社)になぞらえて、本作の監督・小平哲兵が撮影当時のキャスト陣とスタッフ陣を振り返ります。
メイクチーム
三回目は、メイクチームの塚原さん、小浜田くん、小川さんについて書いていこうと思います。
メイクチームのリーダーの塚原さんとは知り合いを通して、現場前に新宿の西口付近の飲み屋で親睦会をしたのが初めだった。
最初から明るく、気さくで、笑顔の絶えない人だなーと僕は思った。
小川さん、小浜田くんも、三人が現場にいると何だか僕が進める事が出来ない状況でも、皆が心朗らかでいられると感じた。
何から何まで……
それは、このメイクチームがあったからこそだ。
小浜田くんは制作部の手伝いまでしてくれ、小川さんは声の出演まで果たしている(孝作にお金の催促をする声)
塚原さんは、メイクの他に着物の管理までお願いした。
つまり、メイクチームとはいいつつも、何から何までやらせてしまったということだ……。
まるでスパイ活動
それでも三人は明るく楽しく現場で過ごしてくれた。これは大きく、頼もしいことだ。
俳優陣に一番近いのはメイクさんだ。
合宿中、小浜田くんと温泉に一緒に入る時や撮影前後の時。俳優陣の不安や不満、普段話している事なんかを具に小浜田くんに聞いたのを憶えている。
まるでスパイ活動だ。
映像に映るもののディティール
【例えば……】
孝作の眉
作品の時間が進む毎に、眉毛を濃くしていって瀧井孝作の成長を表現したり。
玉の口紅
玉の感情に合わせて、口紅の色を変えたり。
菊の薄いメイク
菊との別れのシーン。菊が芸者としての鶴昇と決別する意味を込めて、メイクを薄くしたり。
ムードメイクチーム
どこでも、メイクチームは場を明るくしていたように思える。
正に“ムードメイクチーム”だ。
話は戻りますが 笑
三人のお陰で、陰気で鬱々とした僕自身すらも、現場ではどこか楽しくて笑えた。
また、一緒に作品作りがしたい。