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人事制度の策定における舞台裏で

ロシアがウクライナに侵攻して、はや一週間。この状況が一日でも早く良くなることを願って止みません。

この週、私にとって、本当に大きな出来事がありました。大学時代の大親友が亡くなったのです。彼とは入学式でたまたま横に座った以来の仲で、いつも一緒にいたので、今でも信じられません。

最近ついつい仕事に没頭し過ぎて忘れていたのですが、通夜を終え、芝浦という海岸沿いの家に帰り、ふと窓の外を見ていると、いろんな船だけではなく、星や夜景が綺麗な場所に住んでいることに気づき、ほんの少しだけ救われた気持ちになりました。そんなこともあり、改めて冷静に今の自分のココロの状況を整えるために、構造的に整理する時間は別途また取りたいと思います。

さて。ちょうど今、人事制度を新しく作り直す過程で、色んな記事や人にお会いさせていただき、さまざまな知見をいただく機会があったのですが、理論を知ったところで、結局のところは本質的に人の力をどう活かすのか、をいかに仕組みとして落とし込むかに帰結するな、と考えていた次第です。

市場:人事の位置付けに、重要な変化の兆し

世の中のIT人材、デジタル人材、DX人材の言葉の偏移にあらわれるように「DXバブルで争奪戦」みたいな記事が日経を騒がしていました。35歳以上といえば、日本で考えたときに転職の限界というのがまだまだ一般的な考えかな、と思います。ましてや、営業職である人間が、欧米のIT大手から2,000万円近いオファーが届くなんて、にわかには信じ難い出来事です。

最近では、行政ですらデジタル化が叫ばれ、デジタル庁では私の古巣でもあるグリーのCTOである藤本さんが、CTOとして就任される「デジタル庁が2021年9月1日に発足、組織の縦割りを廃し、国全体のデジタル化の主導を宣言」なども話題となりました。思い起こせば、私が就職をはじめた2011年という約10年前は、インターネット業界にいくなんて。。などの抵抗もあったことを考えると本当に変化しました。

また伝統的な産業も変化を強いられています。ファーストリテイリングが、中途人材に年収最大10億円と柳生会長よりも高い水準に引き上げたことが話題になりました。もちろん、すべてがこれに当てはまるとは思えませんが、競合を同業種であるZARAなどではなく、ますます拡大するインターネット業界のAmazonなどと本気で競わなくてはならないという危機感からだそうです。

まさに伝統的な産業でも変化しないと生きていけないレベルになったとひしひしと実感するとともに、本質的には、進化論のチャールズ•ダーウィンが言っていた「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一、生き残るのは変化できる者である。」状況になったと言えます。

加えて、それらを育てていくことも重要なイシューとなり、そのレベル感も経営マターとなりつつあります。例えば、「競争力の源泉は「人材」 人的資本経営に関心高まる」といった記事も出始めており、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことを求められてきています。

これを見ていても、最終責任者が人事のトップではなく、経営陣からCHROがアサインされており、ますますこういった動きは加速していきそうです。

人事が各部門の要望をとりまとめ、利益を見ながら調整する、といった、よくある人員計画を行う人事の範疇には収まり切らず、もはや経営レベルで設備投資と同等に秤にかけるべき事項になったと言えるかもしれません。

視座と視点:人事制度は、人事マターではなく経営マター

まず人事における視座といえば、「理想とする会社のあり方」を実現するために設置している「人事制度」が言えるでしょうか。

その根幹にある「働く」の価値観、何よりも会社として目指す姿、その意志からブレイクダウンされたものです。

昨今『何をするのか?』という一般論としての自分の役割から、『誰とやるのか?』という非常に人間的な信頼を基盤とした働き方を重要視する企業が増えている話を耳にしました。

たしかに、最近面接などをしていて、会社のネームバリューだけではなく、会社や事業のミッションやビジョン、バリューが求職者にとって自分自身が共感できる価値観を持っている集合値としての話よりも、そこで働いている人の息遣いから選ぶような基準を持っている人が増え、事業成長に向けての土台はもちろん、それだけではない役割を、人事制度に求められていると理解しています。

ここは私の古巣でもあるAccentureは本当に素晴らしい会社と理解しています。年間1,000億円は人材開発に投資している、もちろんそれだけではないですが、結果として時価総額は$20Bにも関わらず、PERが33倍(2022年2月)あることが証明しています。

そうなってくると、もはやただの成果を評価する人事制度では太刀打ちができず、むしろこの視座と視点のレベルで設計を考えないことには、本当に求めている人材が集まって来ない、育たない時代になり、より本質的な人間力を最小単位から高めていくことができる仕組みを求められていると理解しています。

A面とB面:人事制度に込める裏表のココロ

さて、今回制度を改定するにあたり、「競合優位性があること」を一番意識しました。今回の改定にあたっては、会社のミッションと個人のミッション、どうベクトルを合わせていくかを軸として、他社にはないROXXだけの価値観を全社総力戦で高めていく仕組みを創り切るという方向性です。

もちろん、策定における過程でさまざまな方に現状をインタビューをさせていただいたりしながら、できる限り自身の思い込みがないか、バイアスが掛からないようにを心掛けました。

特に今回約60ページにも渡る人事制度ガイドラインを1ヶ月で作り切るため、人事のメンバーには複数回レビューをいただき、私自身の思い込みがないように多くのフィードバックをもらったこと、本当に感謝しています。

今回の主旨は、組織の多様化が見え始めて、現在の経営体制においても認知の限界が見え始める、まさに100人の壁に差し掛かった年の反省を活かし、より組織文化やカルチャーを大事にしていきたいメッセージが込められています。

そして、そこに私自身が多くの企業で経験した中で、悩んだことや自分の力が足りず、解決できなかった反省も含めました。

特にバックグラウンドが違う、育ってきた環境も経験も違う人間が集まる場所が会社です。ROXXだけではなく、他の会社でもそうでした。だからこそ集まるメンバーが出来る限り幸せに働けるよう、とはいえ、ROXXを成長させ続けられる大事にしてきた、その中でも未来この先も大事にしていきたいDNAを言語化した『ROCK』、『BAND』、『SHOW』という「バリュー(Value)」と「チューニング(Tuning)」を今回人事制度に含めることにしました。

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とはいえ、ただ守ってほしいでは大事にしていきたい組織文化・カルチャーを保つことが困難であると理解し、組織文化・カルチャーを言語化したValueとそれを体現するためのTuningを、みんなで守るだけでなく「守って改善し続ける行動そのものを評価」する仕組みにしました。

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今回の制度改正が本当にうまくいくのだろうか。コンサルティングで実行しているのではなく、自身が人事責任者として策定したのは当然初めての経験であるので、身の引き締まるというよりも、皆に受け入れてもらえるか否か、お腹のド真ん中がキュッとなる不安な気持ちのが正直大きいです。

昨今ちまたでは、メンバーシップ型やジョブ型雇用といった便利な概念が満ち溢れています。今回のROXXの制度は、まさにいうなれば、唯一無二のバンド型の人事制度となります。

まだまだROXXというのは小さな会社です。誤解を恐れずにいうと、だからこそやれることは多く、今回の制度改正も決して完璧なものではありません。

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アフリカのことわざに「早く行きたいなら一人で行け。遠くへ行きたいならみんなで行け(“if you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together”)」というものがあります。

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ただし、我々のようなスタートアップでは、「早くて遠くに行きたい場合は?」を問われ続けます。

人事制度をきちっと運用して、さらに進化させていき、昨日よりも今日、今日よりも明日、もっとより良い世界を創っていくこと、これを背中を預けられる仲間とともに「時代の転換点を創る」ことを目指し、そして実現していきたいと思います。

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明日、ROXXの皆さまに人事制度を展開する前に、どうしてもまとめておきたかったキャラにない複雑な想いや心の内側をまとめてみました。

宜しければ、meetyでもお会いしましょう。

最後に

いつも眩しいぐらい明るかった大親友へ。どうやら、まだまだやるべきことをやり切れていないみたいやね。うまくいかないことのが多いかもやけど、とにかく諦めず足掻いてみます。ご冥福をお祈りします。そっちで見守っていてください。

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Hiroto Nishimura
デザイナーからキャリアスタート。10カ国11拠点のBrand Mgr、IRを経て、金融系ベンチャー企業にてマーケ、BizDev等に関わる。外資系コンサルティング企業、M&Aアドバイザリー企業にて社長室を担当。インサイドセールスの立上げ、管理本部などを歴任。3人兄弟同じ誕生日。