私の反吐はもったいないからお前には吐かない

いちとせしをり氏が炎上したのは記憶に新しい。本人はまるで被害者かのようにお涙を誘う「想い」だけを書き連ね、耳障りの良い言葉を並べただけの「いい文章」とやらをまた更新している。その神経の図太さには感服せざるを得ない。自殺未遂をして何日も何も喉を通らなかったのに突然ケーキとピザを受け入れられる。どうやら胃の強さと精神の強さは比例するらしい。

こんな皮肉を言いたくなるほど、連日私はいちとせしをり氏に腹を立てている。別に、ファンだったわけではないから裏切られたとかではない。むしろTwitterで回ってくる薄寒く胡散臭い文章を見て「なんだこいつ」と思っていたので、炎上時には私の直感は正しかったのだと自分の感覚を信頼したくらいだ。「女を滅多刺しにしたい」などとほざいていながら「私は女の子でいたい」だ?ふざけるのも大概にしろ。化けの皮を剥がせはただのよくいるミソジニストだったのだ。笑える。過去のことだから〜なんて擁護しているおめでたい人もいるけど20代前半からの3年なんて3日と同じくらいだ。女を滅多刺しにしたいやら自殺するなら強姦しちゃえやら言っていた奴が、どうして2、3年で、女子トイレの赤い壁の中で鏡を見てニッコリ微笑むことができない辛いよ〜って涙を流すような人間になるわけ?「想い」とやらを読んだけど、なんで女性の恋人と死別して女への憎悪が膨れあがんの?思考回路が意味不明すぎて怖いわ。本当に無理。

そしてますます意味不明なのは、いちとせしをり氏みたいに他者やある属性へのヘイトで炎上した奴を批判する流れに対して「それはヘイトだ」とか、今回はいちとせしをり氏の性自認が女性(という設定)だったことから、彼への批判はトランスフォビアだとかいう第3の勢力がでてくることだ。まあ、言いたいことはわからなくない。言いたいこと、というか「そうありたいんだろうな」っていう感覚。私だって常に倫理的に正しくありたいと願っている。でも、中立の立場を取ろうとして本筋を見失うことは、果たして誰にとって都合の良い存在になっているのか、よく考えるべきだ。

いちとせしをり氏の過去の発言が看過できるものではない女性蔑視に塗れたものであるにも関わらず「女」として発信していること、その批判を受けてなお被害者気取りで身内には許されたことばかり主張してくる薄気味悪さ。Twitterでは鍵をかけたかと思えば過去ツイを消して証拠隠滅を図り、noteではまたいちとせしをりとしての想いを新たに更新している。私は腹を立てている。お前の発言のせいで過去にあった被害がフラッシュバックしてしまった人、女性として生きることへの自意識や社会の不理解へ思い馳せながら応援していた人、ショートケーキで涙を拭いてなんていられない現実に生きている女性、お前の周りの人間を全員踏みにじってるんだよ。あなたの文章から読み取れるあなたの現実に関わる人たちは、誰もあなたを咎めることなく許してくれているみたいですけどね。

いちとせしをり氏は女を馬鹿にしてるし、文章も馬鹿にしている。この二点に苛立ちがおさまらない。文章を扱う人間なんて自称しておいて、文で他者の尊厳を踏みつけていた過去を受け止めずに、都合の良い「想い」だけの文章を謝罪に変えた。自分だけが思い描くようなふわふわの「女の子」像でいたいのは勝手だし、震える指でリップを塗って微笑むのもどうぞご自由にとしか思えないけど、女性という属性を踏み付けにして命を脅かす態度をとった過去は消えないし、確実にいちとせしをりを構成している一部だと思う。入試で女というだけで減点されたり、女というだけで給料を少なくされたり、夜道を一人で安心して歩くこともできず、被害に遭えば服装や時間がどうのと責められ、自衛をすれば自意識過剰だのと叩かれ、男様のケア要員でいろ常に美しくあれと社会の圧に晒され、日々女は殺されている。そういう現実の女の苦しみには目を向けずに、化粧だのワンピースだの凝り固まったジェンダー観の「女」に夢見るそぶりを見せながら、女ではないことで脅かされることなく安住できる場にいるいちとせしをり氏。一言で言うならば、醜悪。聞こえのいい言葉で取り繕うことをやめて、自分のそのさもしい心に目を向けてほしい。その時には改めて反吐を吐いてやってもいいかな。


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