週刊俳句上原(第24巻46号)
ゑひ[酔]では、毎週日曜日に、上原ゑみの新作の俳句を発表します。毎週5句発表です。
銀盆は十一月の空である
ふんはり閉める梟の声を入れ
祥端手の大皿に濃きブロッコリ
猫足の椅子と冬薔薇そして遠出
版画ひよいと抱へてゆけり枯蓮
「祥端手」は、しょんずいで、または、しょうずいでと読みます。大皿に広がる瑠璃色の絵付けと茹でたブロッコリーの緑、その鮮やかな色のコントラストを伝えようとしたのが3句めです。白地に青い模様の陶磁器を、中国や韓国では「青花〈せいか〉」「釉里青〈ゆうりせい〉」、日本では「染付〈そめつけ〉」と呼びます。「祥端」は、中国明時代末期、染付が大流行していた当時の日本の大名茶人からの依頼により、江西省景徳鎮の民窯で焼かれた染付・青花のことをいいます。吉祥模様と連続した幾何学模様の組み合わせが特徴で、さらに江戸時代初期の古九谷などでそれを写したものが「祥端手」ということになります。常に人気があって特に現代の物は市場に多く出回っているため購入の際は贋作にご注意、だそうです。逆に手放そうとすると、同じ理由により元値に比して二束三文の値付けを言われ、悲しみが止まらないらしいです。
※祥端の解説がいちばんわかりやすくて面白くて深かったので、京都・新門前通「梶古美術」当主の方のblogをご紹介しておきますね。
https://www.mbs.jp/kyoto-chishin/shoku/shokuchishinblog/utsuwa/84565.shtml