週刊俳句上原(第24巻47号)
ゑひ[酔]では、毎週日曜日に、上原ゑみの新作の俳句を発表します。毎週5句発表です。
向かうからこちらへ雲腸の小鉢
雲腸の窪みに溜まるポン酢かな
雲腸の中央探れどもがたつく
リモコンが裏向きにあり冬は壺
八手の花は割れし絵皿を継ぐために
今回は雲腸(くもわた)の句ばかり作ってしまった。まずは季語の確認から。
ところで新作5句の発表スケジュールは、日曜日にアップし終えたらその日は休憩(というより別の課題なり用事なりをこなし)、月曜と火曜の2日間を使って次回用の試作をする。ゑひで上原ゑみの句を選句している若洲至はめっぽう点がカラく、最低でも20句ぐらいは試作しておかないと及第点句が残らない。その後、生き残った数少ない句を推敲→若洲に見せる→ダメ出しが繰り返され、互いに空き時間の手持ちが少ないこともあって、火曜日までには土台を作っておかないと時間配分が間に合わないのだ。そんなこんなで5句の抽出が終わるのはたいてい土曜日。更に、俳句だけでは画面が味気ないだろうから、ぐらいの軽い気持ちで付けることにした短文(いま書いているコレです)、これがまた絶望的に手が遅い。今回もすでに日曜の夕方になってしまった。常に自転車操業である。私には食にまつわる俳句が少ない傾向があり、偏りを調整したい思いもあって、今回はできれば好物の雲腸で5句、としたかった。しかし若洲が~至がぁ~20句近く作った私の雲腸名句のほとんどをNGに泣。ゑひの打ち合わせは大半が文字によるのでその表情は見えないが、たぶん彼がいちばん眉をひそめたのはこんな句ではないかと思う。
雲腸や狢菊紋いとお地味 上原ゑみ
ま、そうなりますわね。松の廊下で悪ノリする私を羽交い締めにして止める有り難い相棒です。そんなわけで雲腸の句が5句中3句と中途半端ではあるものの、珍しく食材と格闘した記念に並べることにした。雲腸は多様な作り方が出来る面白い季語だった。さて日も暮れたようですね。呑むとしますか。