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『伸びしろ』を残す鍛え方(侍ハードラー・為末大の記憶)
冒頭の画像は、世界陸上男子400メートルハードルで、2度の銅メダリストになった為末大さんの中学生時代の写真です。
私は、以前に11年間、中学校の陸上部で外部コーチを務めましたが、当時、一番古い中学記録が、為末さんが持っていた200メートルのものでした。
そのタイムからして、「どんなスーパー中学生だったんだろう!」と感嘆するとともに、「さぞ、厳しいトレーニングをしていたのでは」と、関係者の一人として思っていました。
しかし、実際には、その逆のような状況だったことが、最近、分かりました。
数日前の為末さんのツイッターで、彼は、次のようにつぶやいていたのです。
陸上をやっていた方は分かると思いますが、中学時代に走った二回目の400mが49秒0あたりでした。練習すれば47の中盤くらいいっていたと思います。私の人生で最も幸運だったことは小中高の指導者が未来を見据えていたことです。この内の誰かが練習をやらせまくっていたら五輪にはいけなかったと思います。
実は、私の記憶する限り、中学チャンピオンの選手が、そのまま順調に成長して、五輪選手になった例は、意外に少ないはずです。
その理由は、幾つかあると思いますが、大きな要素の一つとして、過度なトレーニングによって心身に与えるダメージの深さが起因していると考えています。
私も関係者だった経験から分かるのですが、選手が全国大会レベルになってしまうと、指導者は、どんどん名誉欲を得ようと、選手に対する指導が、冷静さを失っていきます。
全国大会出場者を輩出した指導者は「全中先生」と地域で呼ばれ、尊敬の念を持たれる存在となることにより、その選手の将来を見据える気持ちは薄らぎ、目の前の選手の競技力向上のみにフォーカスを当て続ける状況に陥ってしまうのです。
現在は、指導者を取り巻く環境も変わり、様々な情報も得やすくなっているので、眼前の成長のみを考えた指導は減っているのかもしれませんが、まだまだ、勝利至上主義が、指導者の行動を支配している状況も、存在しているのではと推測しています。
為末さんが「人生で最も幸福だった」と表現しているような『伸びしろ』を残す指導が、如何に、小中高の選手に対するコーチングにおいて大切であるかを、今回、改めて認識した次第です。
指導者は、けっして選手にとっての『支配者』ではないことを、子供たちの指導に当たる方々には、肝に銘じて頂きたいと切に思っています。
最後に上記ツイッターのつぶやきに続けて投稿されたツイートを引用させて頂きます。