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参考にならない⁉︎今どき小学生の読書&読み聞かせ事情

児童書において、一部の小学生女子に人気の高いジャンル…それは『ジュニア小説』!別名『ジュニアノベル』や『児童文庫』とも呼ばれます。

はじめて出会ったとき、私はアニメ風の表紙の絵柄から『ライトノベル』だと思い、警戒しておりました(ラノベに対して敵対視しているわけではなく、あくまで内容が子供向きかどうかという視点で見ているため)。

こういうのです。


幸い『ジュニア小説』は小学校高学年向きに作られていると知ったので、いまは本人の好みにまかせて読ませています。クラスの学級文庫に置かれているくらいだし。

ちなみに、子供が好きな本は『角川つばさ文庫』のものが多いです。
クラスの女子に人気があるのは『魔入りました!入間くん』のノベライズ、男子に人気があるのは『ブルーロック』のノベライズだそうです。漫画は教室に持ち込めないので、漫画やアニメのノベライズが支持されているようです。


(私が絵本や児童書を紹介するnoteを書いていることもあり)わが子には歴史のある著名な児童書も読んで欲しいのですが、そこは100パー親のエゴなので気にしないことにしました。笑


また、内容が子供向けだったとしても、上の子が小さかった頃、私は挿絵に対して保守的でした(私自身は漫画好きなのですが)。
今はだいぶ緩くなりましたが…元「古き良き絵柄で良し」派。



そんなこんなでもうすぐ五年生ともなると一人で本を読むわけですが、夜寝付けない時などは「読み聞かせ」をリクエストされることがあります。
そこで今回は、いったいどのような本を読んでいるのか紹介させていただきます。

この記事を書いたのは、小学生のお子さんの選書の幅を広げるヒントになればと思ったからです。また、本にはさまざまなジャンルがあり、“正統派”な本を読まない子でも楽しめる本が必ずあることを知ってほしいと考えました。


ここで紹介する後半の本はマニアックな本なので、お子さんの好みに合わせて各ご家庭で他のものに変換してくださいね。どなたかのご参考になることがあれば幸いです!


小学生向け絵本

私がチョイスしていますが、本人の好みがだいたい分かることもあっておおむね聴いてくれています。
小学生向け絵本はたくさんあるので、個別の記事で紹介していきます。こちらは一例です。


『走れ! ! 機関車』 ブライアン・フロッカ 作 日暮雅通 訳

1869年、夏。ひとつの家族がアメリカ大陸の東から西へ向かって旅立った。
開通したばかりの大陸横断鉄道に乗って!

横断鉄道は1862年アメリカ南北戦争の真っ最中に計画され、2つの鉄道会社によって建設が進み、1869年に完成した。これにより東のオマハから西のカリフォルニアまで、えんえんと馬車でいくか、船でアメリカ最南端の岬を回る船でいくしかなかった旅が、たった4日にちぢまった。

力強い蒸気機関車の登場と大陸横断鉄道の開通はアメリカの生活を大きく変えたのだ。その横断鉄道の旅と蒸気機関車を、臨場感あふれる迫力ある絵で描いた絵本。

蒸気機関車についての解説付き。

出版社の紹介

対象年齢…小学校中学年から
ストーリー…主人公の少年が家族とアメリカ西武まで大陸横断鉄道で移動します
魅力ポイント…約150年前の旅の雰囲気が味わえるところ
読み聞かせ…絵が細かいので少人数がおすすめ

アメリカの権威ある絵本の賞「コールデコット賞」受賞作。

「アメリカの西部開拓史」なんかが好きな方にはたまらない内容だと思います!もちろん華やかで明るい部分だけではなくて、機関車を動かすために様々な人たちが過酷な労働をしている部分にも触れられています。


本が大判で大迫力!

馴染みのない時代背景や文化ですが、丁寧で分かりやすい説明と効果的に擬音語が使われていることで、お話に引き込まれます。

機関車のメカニックな細部をはじめ、途中停車駅など当時の旅のディテールが描かれています!わくわく。
また、当時のトイレは設備が簡素で、線路に直接排泄される仕組みだったようです。そこは当時の状況を考えると仕方がないとはいえ驚きました。



『ぼくたちのことをわすれないで: ロヒンギャの男の子 ハールンのものがたり』 由美村嬉々 作 鈴木まもる 絵

ミャンマーで家族と共に平和に暮らしていた男の子・ハールンは、ある晩、火事に気づいて目を覚ましました。武器を持った男たちが村を襲ったのです。命からがら家を飛び出したハールンは、隣家のラヒームおじさんといっしょに三日三晩歩き続け、国境となるナフ川を渡って隣の国バングラデシュにたどりつきます。

両親とはぐれ、悲しみにくれるハールンですが、難民キャンプに学校ができたことで笑顔を取り戻します。その学校は、日本でくらすロヒンギャ男性が私財で建てたものでした。

ロヒンギャの人たちに起きたことと、難民キャンプの子どもたちの現状を伝える絵本。巻末には、根本敬・上智大学名誉教授による解説つき。

出版社の紹介

対象年齢…小学校低学年から
ストーリー…主人公の男の子ハールンが迫害され、家族とはぐれたまま難民キャンプに向かいますが…。
魅力ポイント…この世界ではある日突然、平穏な日々が破られることがあるという事を知れるところ
読み聞かせ…教室でもOK


恥ずかしながら今までは『ロヒンギャ族』という名前しか知りませんでした。彼らは、もともとミャンマーで暮らしていて、ある日を境に弾圧がひどくなり、現在は隣国の難民キャンプに追いやられている人びと、ということをこの絵本で初めて知りました。



日本にも様々な『移民』と呼ばれる人々が暮らしていますが、彼らのバックグラウンドは人それぞれ。『移民』とひとくくりにせず個々の状況をみて慎重に対応していかねばならない相手なのだなぁと思いました。

地元では外国の方は少数派なので特にトラブルの話は聞きませんが、ネットや本での情報を見る限り、移民問題に関してはさまざまな意見や問題があっていろいろと考えさせられます。


『ゾウの森とポテトチップス』 横塚眞己人 写真・文

世界で3番めに大きな南の島・ボルネオ島のゾウたちの命があぶない

 わたしたちが何気なく食べているポテトチップス、
 毎日つかっているシャンプーや洗ざい・・・
 これらがゾウたちの命をおびやかしているって、ホント?

 ――熱帯雨林の森がへっているボルネオ島の真実と、
   わたしたちのくらしとのつながりを知る写真えほん。

出版社の紹介

対象年齢…小学校低学年から
魅力ポイント…写真で現実を突きつけられるところ
読み聞かせ…教室でもOK

東京から南へおよそ4000キロメートルの島。そこで森の木を切り倒して作られているのはアブラヤシ。生態系は崩れ、ゾウの住処は減るいっぽうとのこと。

高校生の頃にそのような本を読んで以来ファストフードに苦手意識があったのですが、今回それが視覚的に写真絵本によって当時の記憶が思い起こされました。

空撮された森がまるでレゴブロックによって整然と並べられた木のブロックのよう。あまりにも不自然で、山を切り開いて設置される太陽光パネルのようにゾッとする光景です。

たまに子供とファストフードを食べる機会はありますが、子供にも便利な生活を享受する一方で、地球のどこかで犠牲になっている地域があることを知ってほしいと思いながら読んでいます。


知識の本

ウィルスや危険生物など近寄りがたいものから、身近なものの原料や作り方などに興味があるので、下記の本がお気に入りのようです。もちろん『はたらく細胞』シリーズも子どもは読んでいます。

『気になるあの病気から自分を守る! 感染症キャラクター図鑑』 岡田晴恵 監修 いとうみつる 絵

インフルエンザ、ノロウイルス感染症、おたふくかぜから、デング熱、エボラ出血熱、MERSまで、43の感染症をキャラクター化! 症状や感染経路、予防や治療の方法などを、わかりやすく解説。

毎年流行するあの病気や、最近話題になっているあの病気から、家族みんなでうつる病気から自分を守るための超入門書です。

出版社の紹介

対象年齢…5、6歳くらいから
魅力ポイント…身近な病気のもとになるウイルスについて楽しく学べるところ
読み聞かせ…家庭向き

こちらのシリーズ、栄養素や添加物も擬人化しているので何冊か取りそろえてみました。子供が一番好きなのが、こちらのウイルスや細菌の本です。


危険度という指標があるのがお気に入りだそうです。


読みながら「この前このウィルスで苦しんだね」「主な発症年齢が小さい子なのに、小学生になってからかかったね」などと子どもの病歴と照らし合わせて話しながら読んでいます。



『どうやって作るの? パンから電気まで』オードレン・ワトソン 著 竹下文子 訳

この本は、1974年にアメリカで出版された「すこしむかしの」ものの作り方を説明した絵本です。

みなさんのひいおじいさん、ひいおばあさんが子どもだったころや、そのもうすこしまえの時代、工場ではほんとうにこんな機械を使い、人の手でいろんなものが作られていたのでしょう。

科学や技術はどんどんすすみ、いまではもっと近代的な大きな工場で、大量生産ができるようになっています。だから、この本にかいてあることは、いまのやりかたとはちがうところもあります。日本と外国のちがいもあります。絵本ですから、むずかしい説明はぬかして、かんたんにしてあるところもあります。でも、毎日食べるパンから、毎日使う電気まで、身のまわりのいろいろなものが、何から、どうやって作られるか、という基本は、ほとんどかわっていません。

訳者の紹介文より抜粋

対象年齢…5、6歳から
魅力ポイント…身近なものの仕組みや原材料が知れるところ
読み聞かせ…教室でもOK

私にとってはここ5、6年の間に何十回読まされたか分からない本です。たぶん人生で一番たくさん読んだ絵本です。そのくらい上の子にとっては大ヒットでしたし、私にとっても思い入れのある本になりました。


トップバッターのトピックが「ゴム」というのが良いですね。ゴムの木なんて日本ではまず見られないでしょうし子どもにとっては良い学びになります。

去年綿を育ててみたけど、虫がヤバかったです。


子どもは「インク」の項目で色の3原色(加法混色)を覚えました。
「電気の作り方」は小学中学年以降でないと難しいかも。でも、意味がわからないなりに子供は楽しめるのですね。

アメリカでの初版が1974年で製法がさらにその時代より古い感じです。でも現代の画一的な工場にはない良さがあります。このアナログな感じがビーバーやキツネなどのかわいいイラストとマッチしていてめちゃくちゃ良いです!!


将来の夢に関係する本


長女の将来の夢は「パティシエになること」。小学一年生の頃から言っていて、たまにスイーツを作ったり、レシピを調べてノートに書き写したりしています。

そこで10歳の誕生日にプレゼントした2冊の本。子供向けではありません。「パティシエになるために進む道はこういう世界だよ」と参考になればと思い選んだものです。実用的でありながら観賞用にも優れているため、本棚に飾っていました。

本人も気に入ってくれたようで、たまにパラパラと眺めてくれています。
先日、眠れない夜に「読んで」と持ってきました。かなり分厚いので一緒に片方ずつ持って読みました。

『美しいフランス菓子の教科書』

対象年齢…大人
魅力ポイント…パティシエが高度なことをしていることが分かるところ
読み聞かせ…ソファーでのんびり一緒に読みたい

こちらのレシピを一般家庭で実際に作るのには難しいです。ただ「ホンモノ」のパティシエの世界を私も知らないので購入しました。

スイーツの絵がかわいく、レシピの写真が美しいので眺めているだけでうっとりします!このタイトルは伊達じゃない!

お菓子の名前がすべてフランス語なので響きが独特で可愛らしいです。
「名前はふんわり知ってたけどこんなお菓子だったのね」などと思うものが多く、この知識があるとケーキ屋さんでケーキを選ぶときにも便利そうです。



『美しいフランステーブルウェアの教科書』

フランス料理がユネスコの文化遺産としても登録されている理由の一つには、テーブルウェアの洗練度の高さが大きいといわれています。

本書ではムスティエやリモージュ等、フランスを代表する食器をはじめ、チョコレート用の銀器等、様々なテーブルウェアを歴史的背景から解説。装飾から読み取れる様式などを系統的に学ぶ事ができる、テーブルウェア解説の決定版です。

出版社の紹介

対象年齢…大人
魅力ポイント…美しく優雅な食器がたくさん掲載されているところ
読み聞かせ…ソファーでのんびり一緒に読みたい


最初から読まずにパラパラとめくって気になったページを読み聞かせます。「へー!昔は個々のカトラリーがなかったんだね」などと感想を言い合いながら豆知識が得られて、親も楽しいです。



2冊とも辞書のように重いのですが、先日は学校の「自主学習」用に持っていって気になったページをノートにまとめていたそうです。「まだ早いかな」と思いつつプレゼントした本ですが、意外な使われ方に驚きました。


子供は自分の興味関心のある領域に関しては背伸びしてでも取り組みたいのですね。分からないことがあってもそれなりに楽しめているのだと思います。


エンタメ系の本

『愛の仮晶』 市川春子

対象年齢…大人
魅力ポイント…すべての絵に作者さんのコメントが付いているところ
読み聞かせ…ソファーでのんびり一緒に読みたい

私が大好きなコミック『宝石の国』の作者さんの画集です。「鬱アニメ」と名高いですが、私はつらい所はあるけれどそうは思いません。
後半の展開は子供には難解かと思いアニメ版のみ子供たちと一緒に観たところ、上の子がとても気に入ってくれました。もともと鉱物に興味があったこともあり、ハマったようです。

こちらの画集はアニメ版から少し話が進んだくらいなので、ネタバレしすぎずちょうど良かったです。

作者さんは仏教校出身の元エディトリアルデザイナー。建築やアートに造詣があるようで、お話に出てくる建築物や衣装や雑貨などのアイテムが洗練されていて、素敵です。



『図説 宝石の国』 市川春子

対象年齢…大人
魅力ポイント…単行本では描かれていなかった設定が知れるところ
読み聞かせ…ソファーでのんびり一緒に読みたい


上記の漫画の設定集のようなものです。「第三者からみた宝石たちの暮らしや月人(つきじん)などについてまとめられたレポート」のテイで読むことができます。

この学術書然とした文体。大人でも眠くなる。でもそれが良いのだ。


漢字にルビが振られておらず言い回しも子供向けでは無いので、普通の小学生が自力で読むことはできません。

「ちょっと難しいかな?」と思いながら読んでみたら、宝石たちの知られざる一面が知れて楽しかったようなので、毎晩せがまれて少しずつ読んでいます。少しずつ、というのは内容が聞き慣れない単語だらけで睡魔が子どもに早めに襲ってくるためです笑


終わりに


いかがだったでしょうか。どなたの参考にもならないかもしれませんが、わが家で個人的に楽しんでいる本を公開してみました。

子どもが生まれてから毎晩一緒に寝てきましたが、近ごろ子供たちが二段ベッドが欲しいと言います。もしかしたら「寝る前の読み聞かせ」は終焉が近づいているのかもしれません。
その日までにもうちょっと夜の時間を一緒に過ごしてみたいなぁと思う今日このごろです。

例によって長くなってしまいました。
最後までお付き合いくださった方、ありがとございました!

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