見出し画像

並列読書は好奇心を点と点で繋いでいく

皆さん『積ん読(自宅に読みたい未読の本がたくさんあること)』していますか?
私は今では「してます!」と堂々と言えますが、かつては恥ずかしいことだと思っていました。

積ん読しても良いと思うに至ったキッカケは、最近聴き始めたPodcast番組『ゆる言語学ラジオ』。

そのパーソナリティである水野さんと堀元さん(どちらも相当な読書家)は、状況に応じて読む本を分けたり、複数の本を持ち歩いたりしているそうです。

特に堀元さんのKindleの中には、前書きしか読んでいない本も多数あるとのこと。
その話を聴いて「読書って、もっと気楽に楽しんで良いんだ!」と肩の力が抜けました。


それ以来、一冊の本を読み終えるまで他の本を我慢することなく、いくつもの本を同時進行で楽しむようになりました。つまり「併読」になります。
今は部屋ごとに読みかけの本が置いてあります笑。

ということで、今回は「併読」のすすめです。おそらく本好きの方には当たり前の楽しみかもしれませんが、今回は私が併読を通じて感動した体験をぜひシェアさせてください!


「砂糖」をテーマに併読してみる

近ごろ、砂糖や糖分に興味があります。
私や下の子が甘党であり、年齢的に健康に気を遣いたいと思い、関連書籍を少しずつ読んできました。

今回紹介する1冊目は、伝記マンガです。
(ちなみに伝記ものはこのポプラ社の『コミック版世界の伝記』シリーズがお気に入りです。
作画やお話は毎回違う方が担当されています。
程よい描き込み量で子どもが読みやすく、お話も面白いものが多いのであまり期待外れになることがありません。
巻末には当時の時代背景の解説などもあり、大人の学びにもなります。)


『アントナン・カレーム』 コミック版世界の伝記52

フランスの著名な一流料理人、アントナン・カレーム。
お話は子ども時代の貧しかったエピソードから始まります。


対象年齢…小学生から

ストーリー…フランスで1人の貧しい少年が、食堂の下働きからスタートして一流シェフ・パティシエになる。やがて彼は皇帝ナポレオンの宮廷料理人も務めるようになるが…。

魅力ポイント…
・作画が素晴らしく、登場人物のデフォルメが魅力的。
  おじさん(偉い人)たちもなんだか可愛く感じられます。
・王道のサクセスストーリーで、読後感が良い。
・パティシエが作るスイーツの描写が甘党にはたまらない。


さて、ストーリーを少しご紹介します。
カレームは貧しい家の出身で、親に捨てられてからは街の厨房で働く傍ら、独学で読み書きを習得する努力の人です。

彼が職場を街の食堂からパティスリー、レストランへとランクアップさせていく成功物語でワクワクします。

また、一流のフランス料理でもてなすことが外交の一助になっていたというところが興味深かったです。


点と点が繋がった瞬間

あるページで若かりし彼が任されたピエスモンテ(大型装飾菓子)の絵を見た瞬間、驚きました。

(※ピエスモンテ…砂糖などを使った精巧な装飾菓子で、パティスリーのショーウィンドウやパーティーの目玉として使われたようです。)


まず、ギリシャ神殿をモチーフにした繊細なディテールの美しさに目を奪われました。
これがお菓子だなんて!

アントナン・カレームのピエスモンテの図案の一例。
カレームの著作『ル パティシエ ピトレスク』より
(2025年1月現在KindleUnlimitedでお読みいただけます!)。


そして次の瞬間、「ああ、そうか!」とまるで雷に打たれたような衝撃を受けました。

別々に読んでいた二冊の本が、時代を超えて『大型細工菓子』というテーマで繋がったのです

なぜかというと、同時に読んでいた『砂糖の世界史』にも、中世ヨーロッパで王侯貴族のために作られた砂糖菓子(立体的なオブジェ)が紹介されていたことが思い出されたからです。

『砂糖の世界史』より


カレームのいた時代とは数百年の開きがありますが、「立体的な細工菓子」を通して、ヨーロッパの王侯貴族の食卓における「美」と「権威づけ」の歴史が浮かび上がったように感じました!
砂糖は長い歴史の中で「美と権力の象徴」として存在し続けてきたと理解した瞬間でした。

この思いがけない発見に嬉しくなり、改めて読書の楽しさを実感しました。

ということで、2冊目をご紹介させていただきます!

『砂糖の世界史』 川北稔 著

茶や綿織物とならぶ「世界商品」砂糖。

この、甘くて白くて誰もが好むひとつのモノにスポットをあて、近代以降の世界史の流れをダイナミックに描く。

大航海時代、植民地、プランテーション、奴隷制度、三角貿易、産業革命―教科書に出てくる用語が相互につながって、いきいきと動き出すかのよう。世界史Aを学ぶ人は必読!

出版社の紹介

※Amazon KindleUnlimitedでもお読みいただけます(2025年1月現在)

対象年齢…高校生くらいから

ストーリー…砂糖を「世界商品」と位置づけ、砂糖を軸に書かれた世界史

魅力ポイント…砂糖が高級品であったために、プランテーションや奴隷制度、産業革命時の都市部での過酷な労働など人類の発展とともに闇の部分もたくさん書かれているところ。

初版は1996年。
今尚名著とされている人気の歴史本です。

特に、イギリスでコーヒーショップが衰退し、紅茶が普及するようになった理由などが詳しく書かれているので興味深かったです。

※「砂糖」に関してはオススメの絵本もあるので、いつか記事にしたいと思います。

終わりに

最後まで個人的な体験談にお付き合いくださりありがとうございました!

もしよければ、皆さんもお気に入りのテーマで併読を試してみてください。本がつながる瞬間の感動を、ぜひ体験してほしいです!
また、テーマがバラバラでも併読しているうちに意外な共通点を見つけることもあり、それはそれで面白いものです。

それではまた、他の記事にてお会いできれば嬉しいです。

食に関するおすすめの絵本です⇩

いいなと思ったら応援しよう!