甥が第一志望に合格!高学歴の兄夫婦に学ぶ子育てのヒケツ
いちばん上の兄は『ガリ勉』だった。私と6歳離れているために一緒に遊ぶことはほぼ無く、当時のことを思い出そうとしても自室で机に向かっている後ろ姿しか思い浮かばない。性格は穏やかだったので、あまり絡みはないけれど好きだった。
母に聞くと、小学5年生くらいの時に担任の先生から「勉強に関してはやり抜く根気があるので向いていると思う」的なことを言われたのをきっかけに頑張るようになったとのこと。
さらに時間を巻き戻すと、父や母はよく小さい兄に「読み聞かせ」をしていたらしい。というかしょっちゅうせがまれて「読まされて」いたらしい。
今、私がわが子に読み聞かせている福音館書店の「月刊こどものとも」シリーズにも兄の名前が記名されている。私は父に絵本を読んでもらった記憶がないので、第一子である兄がいちばん読み聞かせてもらっていたのかもしれない。
ということで、兄は長年の第一志望であった旧帝大に進学。大学在学中から付き合っていた同級生と結婚した。つまり、義理の姉も『高学歴』だ。
(いろいろな価値観があると思うが、この記事では旧帝大=高学歴とさせていただく)
昨年、その夫婦の長男である甥が、両親と同じ大学に合格した。びっくりして、兄におめでとうのメッセージがてら尋ねてみた。
「どうやったらそんな子に育つの⁈」
兄からの返信はシンプルなものだった。
「親子の仲が良いこと。信頼関係が築けていること」
なんだか煙に巻かれた返答のように感じ、最初はよく分からなかった。
しかし、兄一家を思い返してみると、この言葉の意味が少しずつ理解できるようになった。
兄一家はたしかに4人とも仲が良い。甥たちが小さい頃は『トミカ博』に毎年連れて行ってあげたり、ポケモンに親子でハマったりと趣味を共有する時間が多かった。
一時期、次男の甥が「大きくなったら任天堂に入りたい!」と言っていた頃はゲームイベントに連れて行き、ステージ上で甥は有名人と共演するという貴重な体験もしていた。
勉強面での様子はこうだった。実家で集まるとき、甥たちはスキマ時間に勉強していた。義理の姉が即席でプリントを作るので、その場で解く。ノルマを終えたら、リラックスして漫画を読んだり昼寝をしたりと、のんびりと過ごしていた。
これも仲が良いために成せる技だろう。プリントを嫌がってもいなかったので習慣化しているようだった。
今では実家に来るとき、大学生と高校生の甥たちは自主的に勉強道具を持参してくる。
「ガリ勉の子供はガリ勉なのか」と思ったが、兄夫婦の教育方針は「勉強を強制するのではなく、環境を整えること」にあるのだろう。そして、それを支えているのが、兄の言う「親子の仲が良い」という言葉に込められた信頼関係だ。
ふと、自分に置き換えて考えてみた。個人的には、わが子が大学に行こうが専門学校に行こうが就職しようが何でもいいと考えている。本人の進みたい道であれば(反社以外で)。
そのためには、一緒に情報収集したり方向性を定めるお手伝いは惜しまないつもりだ(とはいえ、お節介にならないように気をつけたい)。
ただし、現実的に金銭面や家庭の事情で叶えられないこともあるかもしれない。そんなときは、子どもが納得できる別の選択肢を一緒に探し、前向きにサポートすることを心がけたい。親として与えてやりたいのは「可能な範囲で夢を叶えられる環境づくり」と「現実を受け入れる知恵」。
そこで思った。兄の言う「親子の仲が良い」とは、「親子間での心理的安全性が高い」という状態を指しているのだろう。
ここで言う「心理的安全性」とは、子どもが自分の思いを安心して親に伝えられる関係のことだ。これが親子間で保たれていると、子どもは夢や悩みを共有しやすくなり、親も必要な支援がしやすい。
ちなみに、兄も甥も浪人を経ての合格だ。傍目には彼らは努力家であって、特別な秀才というわけではない。ただ、信頼関係のもとで努力を継続しやすい環境が整っていたのだと思う。
私もわが子に対して、選んだ道を信頼し、必要なときに可能な範囲で応援できる親でありたい。兄の言葉を胸に、日々子どもと向かい合いたいと思う。
※補足
今回の記事のテーマは「第一志望に合格するために」である。
そのためには「親子関係が良好であること」がゴールになっている。
しかし、一部の子どもたちは「親から距離を置くために」、例えば実家から離れた学校をあえて受験することもある。そういった人のために勉強というツールがあることも忘れてはならない事をここに書き添えておく。