トイレでオシリを噛まれる人が続出する。その謎を解くために、ひとり下水道に
入っていく少年ユス。彼が勇敢で人気者かというと、けっしてそうではない。
いつもひとりぼっちのこの少年が、社会的な事件(オシリカミカミ)の真相を探る動機は、ご褒美がもらえればお母さんが働かなくてすむからだった。
はたして下水道には何がいたのか。少年ユスは事件を解決できるのか。文字が大きく、あっというまに読めてしまうので、結末が気になる方はぜひ実際に本を手に取っていただけたらと思う。1998年、オランダの子どもたちの人気投票で「最高におもしろい1冊」に選ばれている。
あとがきによれば、著者はこの物語を1996年9月に執筆し、現実にはこんなことは起こりえないと思っていたのだが、同年11月の新聞記事でアメリカのアリゾナ州の民家のトイレから全長2メートルの蛇が現れたことを知ったという。その意味でも、創作でありながら現実を色濃く映し出した作品ともいえる。オシリを噛まれる珍奇な事件を扱いながら、下水道のように普段は表面には出ていない問題を浮き彫りにしており、単なるウケ狙いとは一線を画している。(超絶おすすめ。星5つ)