追悼 谷川俊太郎さん
最初に谷川俊太郎さんの詩に触れたのは、小学校の国語の教科書に掲載された「生きる」だった。
なんという躍動感、生きる喜び、苦しみ、楽しみ …
その全てが詰まったこの「詩」の最後の一節の奥深さ。
学生時代に詩のセミナーに参加した際、谷川俊太郎さんの分科会を選び、ご本人を前に自己紹介させていただく機会に恵まれた。この詩が忘れられないことと、それ以上に著者紹介のお写真が強烈な印象で「詩人というのはこういう人のことをいうのかと思った」と生意気なことを申し上げたら、「いやぁ、まいったなぁ。もうこんなに髪がなくなっちゃって」とのけぞって笑っておられた。その気さくさなお人柄に救われてから、もう40年。
谷川俊太郎さんは神出鬼没で、その後も書店の朗読会やコンサートにもいらしていたが、子育て中の私は翻訳書や絵本で接することのほうが増えていった。
このほかにもわが家にあったのは、詩集『みみをすます』、たくさんのふしぎ『いっぽんの鉛筆のむこうに』、つみあげうたの『これはのみのぴこ』、同じく和田誠さんとのコラボで『あな』、幼児から大人まで楽しめる『もこ もこもこ』、バーミンガムの訳書『おじいちゃん』、ほぼ日の『谷川俊太郎質問箱』、理想的な国語教科書『にほんご』。
近年のご著書では、誰にでもわかる形で反戦を訴えてくださった、こちらの絵本を感慨深く拝読した。
それに、なんといってもスヌーピー!
このスヌーピーのシリーズは若き日の座右の書。付箋箇所を開いてみると、チャーリー・ブラウンを起こす妹サリーとの会話だった。
自分が好きな絵本や気になる本を手に取ってみる。すると、いつもふしぎとそこに谷川俊太郎さんのお名前が刻まれているのだった。
ことばによって
とりわけ
詩の力によって
大切なことを伝え続けてくださった
谷川俊太郎さんに
心からの感謝を捧げます
どうぞ安らかにおねむりください