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学校の問題に真っ向から挑む
工藤純子著『あした、また学校で』(講談社、2019年)
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クラス対抗リレーやなわ跳び大会がある度に「あいつがいるから勝てない」「おまえのせいだ」という声が飛び交い、運動苦手なこどもが肩身の狭い思いをするのは、学校あるあるの話。
でも、この本は、そんな弱い立場のこどもを教師が叱るところをしっかり描き、学校が抱える課題に真っ向から挑んでいる意欲作だ。
「こんなん書いて大丈夫なの?」「出版社どこ?」「すごいわ講談社さん」と思いながらページをめくった。なぜなら、図書室を抱える学校は出版社にとって、いわばお得意様。だから学校に批判的な内容は書けないのだと編集者の方から伺ったこともある。
「学校は、だれのものか?」という根本的な問題を解く糸口として、学校支援地域本部という旬のサポート体制も提示されている。
こういう本が増えるといい。いや、もっともっと増えてほしい。