絵本のある風景:絵本caféにて
秋、保育園で”絵本café”が開かれました。お迎えに来たお父さんお母さんに、子どもたちが待つ部屋へ行く前に声をかけ、温かいものを飲みながら絵本の読み語りを聞いて頂こうという企画です。私は選書と語りを任されました。思ったより沢山の方が立ち寄って下さって、絵本への関心の高さを感じました。
その中に、弟のお迎えについてきた卒園児のMちゃんの姿がありました。お母さんと一緒に入ってきて、一番前に座りました。もう2年生です。「Mちゃん、よく来てくれたね。」と小声で話しかけると、はにかんだように微笑みました。当時のMちゃんは、いつもイライラしている感じで、みんなと一緒にやることには、「やりたくない。めんどくさい。」と言って突っぱねることがよくありました。絵本もそうでした。Mちゃんに「また絵本。もういいよ。」とうんざり顔で言われると怯むのですが、読み始めると最後まで食い入るように見ている姿があり、楽しんでくれていると信じて読んでいました。
せっかくMちゃんが来てくれたので、当時Mちゃんのクラスでよく読んだ『ピエールとライオン』を読むことにしました。大人から言われることを「ぼく、しらない。」と突っぱね続けるピエールが、そのせいでライオンに食べられ、大人に助け出された後に「はい、わかりました。」という”ためになる言葉”を覚えたというお話です。
読み終えて「覚えてる?」と聞くと、「うん、覚えてる。好きだった。」とにっこり。2年の間に、ライオンに食べられるようなことはなかったとしても、Mちゃんの言葉と表情に成長を感じ、あの頃も楽しんでくれていたんだと安堵した出来事でした。