虫ぎらいはなおるかな?を読んで
今日も今日とて、読書感想文を書く。
虫が本当に嫌いな人は、多分このタイトルからしてダメなのではないか?と元虫嫌いは考える。
だから、著者の金井さんのように、ちょっとだけでも虫とお近づきになりたいと思っている以降の人が手に取るのではないかと推測。
個人的にはめちゃくちゃ面白かったので是非虫嫌いの人にも勇気を持って…と書きかけたけど、もう私は「元虫嫌い」なわけで、生粋の虫が嫌いな人たちの気持ちを全て汲み取ることは出来なくなっているはず。無理のないように…と添えておこう。
この本に出会ったきっかけは、Instagramで同じく金井真紀さんが書かれた「おばあちゃんは猫でテーブルを拭きながら言った: 世界ことわざ紀行」という本を紹介されているpostを見かけ、図書館で借りて読んだことから始まる。
そのあと、金井さんのTwitterをフォローさせてもらい、そこで「虫ぎらいは…」を発見し、軽いノリで借りる。
今回も図書館で借りて読んだが、実はお迎えするか迷っているくらい私にとって衝撃的だったし、誰かに伝えたくなるような内容だった。
虫が好きな人たちが虫の面白さを伝える本はあっても、虫が苦手な人が虫に向き合う本はあまり知らない。例えばパクチーが苦手で、パクチーを食べられるように挑戦するというレベルの心構えなら持ち合わせているが、相手は虫だよ?生き物だよ?動くよ?と、そこに果敢に挑戦した金井さんを心から尊敬する。
内容は、7人の虫の達人に取材をもとに書かれている。
その7人というのも昆虫館の館長さんをされていた方や、科学史の専門家、認知科学の専門家、虫の立体模型を作るアーティストや動物園の飼育員さんなどバラエティに富んでいる。
てっきり虫を研究している人ばかりなのかと思いきや、いろんな虫にまつわる人物たちの物語の延長線上に虫がいて、またそれぞれの角度で語られているのが面白い。
1番興味深かったのは、日本人は「こわい」の中に恐怖と嫌悪をごちゃ混ぜにしてしまう傾向があるという話。
昨今、なんでも「かわいい」と表するように、「こわい」にもいろんな要素をまとめてしまっているようだ。
私も虫が嫌いだった頃、いや今も触ることはなかなか出来ないので、それがなぜなのか?とよく考えることがある。私が自分なりにもっていた答えは「予期せぬ動きをするから」だったが、よくよく考えてみれば動物も、テレビの画面の中も、隣にいる夫だって予期せぬ動きをするわけで…。
その答えが、この本を読んで私の感覚とピターンとあったその先に見つかった!ばんざーい!
これは虫の本ではあるけれど、そのまま人間にも置き換えることができると思う。
たまーに向こうには悪気も何もなく普段通りなのに、こちらからすると「こわい」と思う他人がいる。どうしてそうやって感じてしまうのかも、ほんのりわかった気がした。
そして、読み終わり金井さんの他の本また読みたいなぁーと思いながら奥付けを見る。
ん?んん????
見たことあるタイトルが!!
いや、ここに書いてある本持ってる!!
え?私が持ってるあの本だよね?あってる??
みたいなパニックが襲った。
それは数年前に出会って、めちゃくちゃ面白いと人にも勧めまくっていたこちら。
もう、随分と前に私は金井さんの著書と出会っていたのだ!
絵のタッチが違いすぎて気がつかなかった。
気付かずに両方楽しんで、面白かったことで繋がるって、私は金井真紀さんのファンと名乗るしかなさそうだ。