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おにぎり算で宿題解こう!

おにぎりとフリスビーのシリーズ第3作目になります。
以前の作品はこちら。

それでははじまり。


「あー、さむい さむい!」
おにぎりくんは、温泉での失敗に肩を落としながら歩いていました。
「温泉の湯気であやうくおかゆになるところだった...どこかいいあったかい場所はないかなぁ」

そんな時、温泉の湯を汲みに来ていたおばあさんと出会いました。
「おや、珍しいおにぎりさんね。寒そうだけど大丈夫?」
「はい...温泉はぼくには熱すぎて入れなかったんです」

おばあさんは優しく微笑むと、
「それなら、あそこの休憩所はどう?こたつがあって、みかんやお菓子を食べながら、小さい子供もお年寄りもみんなぬくぬくしているのよ」
と教えてくれました。

休憩所に入ると、こたつには小学生の男の子が宿題に悩んでいました。
算数の問題が分からないようです。
傍らには祖父らしき方が、優しく教えています。

おにぎりくんは、自分も役に立ちたいと思い、男の子の横に座りました。
すると男の子は
「あれ?本当におにぎりが動いてる!」
と驚きの声を上げます。
でも、すぐに笑顔になり
「ぼく、お昼ご飯におにぎり大好きなんだ!」
と話しかけてきました。

そこでおにぎりくんは、算数の問題を「おにぎり計算」に置き換えて教えることを思いつきます。

例えば:
「もし1個のおにぎりを3人で分けると、1人分はどれくらい?」
「お弁当に大きいおにぎり2個と小さいおにぎり3個が入っています。全部で何個?」

このように、身近な例で説明すると、男の子はどんどん理解できるようになっていきました。
まわりの大人たちも、この様子を温かく見守っています。

そうこうしているうちに、こたつの中はますます温かくなってきました。
でも今度は、温泉の時とは違って、おにぎりくんの体は柔らかくならず、むしろ心地よい暖かさでした。

🍙

宿題が終わった後、おにぎりくんは男の子に言いました。
「ありがとう。こたつで温まれて、楽しい時間も過ごせたよ。そろそろ、また旅を続けなくちゃ」

男の子は少し寂しそうな顔をしましたが、すぐに笑顔になりました。
「また会えるよね?」
「うん、きっと。ねぇ、最後にお願いがあるんだ」

おにぎりくんはポケットからプラカードを取り出しました。
『フリスビーを飛ばしてください』

「あ!さっきおばあちゃんが話してくれた通りだ!」
男の子は元気よく立ち上がりました。

休憩所の前で、男の子は慎重にフリスビーを構えます。
「どこに向かって飛ばせばいい?」
「あの電柱の方に、お願い!」

「いってらっしゃい!」
男の子の投げたフリスビーに乗って、おにぎりくんは再び空へ。
下では、こたつで出会った人々が手を振っています。

「さて、次はどんな人と出会えるかな?」 おにぎりくんは、冬の空へと飛んでいくのでした。


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