にくまんくんと迷子のこいぬ
ある雨の日のこと。
店の前で、小さな子犬が震えながら鳴いていました。
迷子になってしまったようです。
にくまんくんは思わず、自分の持つ香りを精一杯漂わせてみました。
すると、鼻がいい子犬は、その香りに誘われてお店の中に入ってきました。
「わん...?(何かいい匂いがする)」 子犬は、にくまんくんの立てる湯気と一緒に漂う、やさしい肉の香りに興味津々。
その時、にくまんくんは気づきました。
「そうか!ぼくの香りって、迷子のお手伝いができるんだ!」
子犬は香りに導かれて、にくまんくんの近くでじっとしていました。
するとまもなく、子犬を探していた飼い主さんが、同じ香りを頼りにお店にやってきました。
「あ!ここにいたの!心配したよ!」
無事に飼い主さんと再会できた子犬は、嬉しそうに尻尾を振りました。
それを見ていた店主のおばあちゃんは、にっこり笑って言いました。
「にくまんの香りには不思議な力があるんだね。みんなの心と鼻を幸せにする力」
その日から、にくまんくんは自分の香りに自信を持つようになりました。
あんまんくんと見た目が似ていても、それは特別な個性。
自分にしかできないことがある、それが嬉しかったのです。
そして、この店の「かおりのにくまんくん」は、雨の日も風の日も、いつでも頼りになる存在として、多くの人に愛されるようになりました。
おしまい
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