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フワリのささやき

ふわりふわりと空を舞うシャボン玉。
それは、フワリ。そっと誰かの耳元でささやくのが、フワリのお仕事です。

朝の道を歩く男の子、タカシの耳元にフワリが近づきます。
「ねえ、今日はいつもと違う道を通ってみて。」
タカシはびっくりして、辺りを見回しました。でも、誰もいません。
「なんだ、気のせいかな。」
そう思いながらも、タカシは言葉通り、いつもと違う細い道へと足を向けました。

その頃、同じ町のもう一つの道で、女の子、ミホも学校へ向かっていました。
フワリがそっと近づいて、ささやきます。
「今日、話したことがない人に挨拶してみて。」
ミホは少し首をかしげます。
「誰に挨拶しようかな…。ちょっと恥ずかしいけど、やってみようかな。」
彼女は気になっていたクラスメート、タカシのことを思い浮かべました。

ふたつの道が交わる角。
いつもなら通り過ぎてしまう場所で、タカシとミホはばったり出会いました。
「あれ、ミホさん?」
「タカシくん、おはよう!」
ミホは少し緊張しながらも笑顔で挨拶します。
タカシも思わず笑顔になり、元気よく返します。「お、おはよう!」

ふたりは少し照れくさそうにそれぞれの道を進みました。でも、心の中はなんだか温かい。

学校に着いたタカシは、ふと思いました。
「いつもと違う道を通っただけで、こんないいことがあるなんて。」
その日から、タカシは毎日ちょっとした冒険を試してみることにしました。
「明日は、いつもと違うお弁当を持って行こうかな。」

一方、ミホも心の中でつぶやきました。
「挨拶するだけで、なんだか嬉しい気持ちになるんだ。」
次の日から、彼女は少しずつクラスメートに話しかけるようになりました。
「おはよう!今日はいい天気だね。」

その日の夕方、フワリは風に乗りながら、そっと笑いました。
「ちょっとだけ、ふたりの毎日が明るくなったかな。」
そして、次の町へ向かってまたふわりと飛んでいきます。

「さて、明日は誰にささやこうかな?」

「あなたも少しだけいつもと違うことを試してみて。
きっと、いいことが待ってるよ。」


いかがでしたでしょうか?

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