くまさんの一献の魔法
雪深い山里に住む白くまのサケ丸には、誰にも言えない秘密がありました。それは、一杯の日本酒を飲むたびに、飲んだ人の心の中が見えてしまう不思議な力。
サケ丸は日本酒が大好きでしたが、この力のおかげで、いつも一献だけを心がけていました。なぜなら、飲み過ぎると心が見えすぎてしまって、頭がクラクラしてしまうからです。
ある日、村のお祭りで、みんながどんどん日本酒を飲んでいく中、サケ丸は困ってしまいました。人々の心が次々と見えてきて、まるでお祭り会場が七色の光で満ちているみたい！
「これは大変だ！」
そこでサケ丸は、自分の作る日本酒に特別な工夫を加えることにしました。一杯目は「幸せの味」、二杯目は「そろそろいいかな味」、三杯目は「おうちに帰ろう味」...と、飲む人の気持ちに寄り添う日本酒を作り始めたのです。
すると不思議なことに、村の人たちは自然と程よい酔い加減で楽しむようになりました。みんなの心の中が、ちょうどよい具合にほんわかと光り始めたのです。
それ以来、サケ丸の酒蔵「SAKE OUT」は、「一献の魔法」で知られるようになりました。程よく飲んで、心がほんわかする。そんな素敵な場所として、遠くからもお客さんが訪れるようになったのです。
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