わたしは、おでんだし
わたしは、この小さな路地裏のおでん屋さんで、100年以上も生き続けているおでんだしです。
毎日、お店の大きな鍋の中で、たくさんの思い出を温めています。初代のご主人が、まだ若かった頃に丹精込めて作ってくれた時のことを、今でもはっきりと覚えています。
「明日もまた、美味しいだしになってね」
そう言って、毎晩新しいだしを継ぎ足してくれる三代目のご主人。その姿は、かつての初代にそっくりです。
わたしの中には、この100年間で出会った数えきれないほどの具材たちの味が溶け込んでいます。大根さんは優しい甘みを、こんにゃくさんは不思議な食感を、たまごさんはまろやかさを、それぞれがわたしに教えてくれました。
お客さまが「ほっ」とため息をつく瞬間が、わたしは大好きです。疲れて帰ってきたサラリーマン、夜遅くまで勉強している学生さん、たまには近所のおばあちゃん...。みんなの心も体も、わたしと一緒に温まっていくのを感じます。
時には寂しい時もあります。長年通ってくれていたお客さまが来なくなったり、古い建物が次々と建て替えられたり...。でも、わたしはこの味を守り続けることを誇りに思っています。
なぜって？それはね、わたしの中には、この街で生きた人々の笑顔や、願い、そして明日への希望が溶け込んでいるから。
だから今日も、新しく継ぎ足されるだしと一緒に、また新しい物語を紡いでいきます。この味と、この温もりを、100年先の未来へと繋げていくために。
おでんだしの長老をSUZURIでランチトートバッグにプリントしてみました。おでんやお弁当を買いに行くときに今回のストーリーを思い出してください。
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