ケンタのきぶん
あれから数日後のこと。
お母さんは夕飯の支度を始める前に、
ケンタを台所に呼びました。
「ねえケンタ、この前は野菜たちが楽しそうって気づいたじゃない?」
「うん!」
「お母さん、思ったんだけど...もしかしたら、ケンタなら作る前の野菜たちの気持ちも分かるかもしれないな、って」
ケンタは一瞬どきっとしました。
でも、すぐに思いついた!
「えーっと...」
冷蔵庫の前で、ケンタは野菜たちと話をするふりをします。
「じゃがいもさんが...今日は寒いから、シチューになりたいって!」
実は、ケンタ自身が今日はシチューが食べたかっただけなのです。
野菜室の中で、じゃがいもは密かに笑顔になりました。
(あら、ぼくもちょうどシチューの気分だったな)
お母さんは、
真剣に野菜と会話するケンタの姿に、
なんだか微笑ましさを感じていました。
その日から、ケンタは毎週「野菜の気持ちを聞く」担当になりました。
実は野菜たちと本当に会話ができているわけではありませんが、
不思議なことに、ケンタの「今日の気分」は、
いつも野菜たちの望みと重なり合うのです。
「今日のにんじんさん、カレーになりたいって!」
(あら、私もそう思ってたのよ)とにんじん。
「玉ねぎさん、オニオンスープがいいって言ってる!」
(まあ、ぴったり!)と玉ねぎ。
野菜たちは、ケンタの「ちょっとしたズル」を見抜いていました。
でも、それは全然構いませんでした。
だって、ケンタの「今日の気分」は、
きっと季節や天気や体調を考えた、
素直な気持ちだから。
それは、野菜たちが望むことと、不思議とシンクロするのです。
お父さんはいつも「今日の晩ご飯も美味しいね!」と言います。
お母さんは「ケンタが野菜の気持ちを聞いてくれるからね」と
ウインクします。
ケンタはちょっぴり照れながら、でもとても嬉しそう。
野菜たちは、みんなの幸せそうな顔を見ながら、
こっそり微笑んでいます。
本当の会話ができなくたって、
気持ちは通じ合える。
そんな優しい魔法が、
毎日の食卓で起きているのかもしれません。
おしまい
いかがでしたでしょうか?
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