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ひらり ひらり ポテトチップス

お菓子売り場で、マナちゃんはポテトチップスの棚の前で立ち止まりました。
うすしお味、コンソメ味、のりしお味...。
たくさんの種類が並んでいます。

「ねぇママ、ポテトチップスってどうやって作るの?おうちでも作れるの?」
「そうね、ジャガイモを薄くスライスして揚げるんだよ。作ってみる?」
「うん!」

次の日、マナちゃんはお母さんと一緒にキッチンに立ちました。
ジャガイモを丁寧に洗って、スライサーで切り始めます。

「ママ、もっともっと薄く切れないかな?
向こうが透けて見えるくらい薄かったら、
きっとすっごく綺麗だと思うの!」

マナちゃんが一生懸命に切ったスライスの一枚は、
まるでガラスのように透き通っていました。
窓から差し込む夕日に当てると、金色にきらきらと輝きます。

その時です。
急に風が吹き込んできて、
その一枚が、ふわりと宙に浮かび上がったのです。

「わぁ...!」

まるで蝶々のように、
キッチンの中をひらひらと舞い始めたポテトチップス。
マナちゃんとお母さんは、息を呑んで見つめています。

やがて、風に乗って窓の外へと飛び出していきました。
夕焼け空の中で、金色の光が小さくなっていきます。

「どこに行くんだろう?」
「きっと、素敵な冒険をしに行くのね」
「うん。もう食べられないけど、それでいいの。
だってね、特別に薄く切れたポテトチップスくんは、
きっと誰も見たことがないような景色を見られるんだもん」

それからというもの、
マナちゃんは時々、夕暮れの空を見上げては、
あの日飛んでいったポテトチップスくんのことを思い出します。
今頃どんな素敵な場所で、誰かに出会っているのかな...。
そんなことを想像すると、なんだかとても幸せな気持ちになるのです。

おしまい


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