三角定規くんのまっすぐの向こうに
いつも机の上で
まっすぐな線を引くのが仕事の三角定規くん。
毎日同じことの繰り返しに
少し退屈を感じていました。
いつもいつも
まっすぐな線ばかり
たまには
曲線も描いてみたいなぁ
そんなある日
机の上で画鋲くんと出会いました
三角定規くんの体に空いている穴に
僕が支点になってあげれば
きっと曲線が描けるよ！
その提案に
三角定規くんの心は躍りました
そして夜な夜な
誰もいない教室で
画鋲くんと一緒に曲線を描く冒険を始めたのです
回ったり
くるくる動いたり
自由に線を描く楽しさに
三角定規くんは夢中になりました
でも
夜が明けて朝日が差し込んできた時
三角定規くんは自分の描いた線をじっと見つめました
それは少し震えていて
不格好な曲線でした
雲型定規の描く優雅な曲線でもなければ
コンパスの描く完璧な円でもない
人間の手が自由に描く美しい曲線とも違いました
でもその時
三角定規くんは大切なことに気づいたのです
ボクには
ボクにしかできない仕事があるな
30度、45度、60度、90度
誰よりも正確に角度を作れる
まっすぐな線を
ピシッと美しく引ける
それは決して退屈な能力ではありませんでした
三角定規くんは
自分の描いた曲線のことを誰にも話しませんでした
でも
それは決して恥ずかしかったからではありません
夜の冒険は
三角定規くんの心に
小さな宝物を残していったのです
今日も三角定規くんは
机の上で静かに微笑んでいます
いかがでしたでしょうか？
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