見出し画像

#19 行政書士→FP2級→宅建合格へ 民法(不動産物権変動)編 第三者って?

「不動産物権変動において、背信的悪意者は、
第三者に当たらない人であるため、登記を
備えなくても所有権の取得を対抗する
ことができる」

この一文を読んで、「?」となっても
特に問題はありません。

あまり理解していないまま、新築を建てる際に
住宅ローンを組み、銀行にて抵当権設定登記を
司法書士の先生に依頼し、説明を受け、
実印を押す、というのが実情だと思います。

ただ、行政書士試験や宅建を受ける受験生と
しては、登記の重要性について、しっかりと
理解しておく必要があるところになります。

1.不動産物権変動における第三者とは…

物権変動では、動産の物権変動と、
不動産の物権変動がありますが、
宅建では、不動産の物権変動ばかりが
出題されているようです。

不動産の物権変動においては、第三者に
当たるのかどうか、対抗要件として登記が
必要なのかどうかが、ひたすら問われます。

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第177条
 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

ここで言う「第三者」とは、当事者及び
包括承継人以外の者で登記の欠缺を
主張する正当な利益を有するもの
です。

当事者の一例としては、
売主が挙げられます。

包括承継人の一例としては、
売主の相続人が挙げられます。

売主や売主の相続人は、
「第三者に当たらない人」です。

「第三者に当たらない人」の場合、
所有権を主張するのに対抗要件と
しての登記は必要ありません。


2.単純悪意者とは区別が必要…

売主や売主の相続人以外の例としては、
背信的悪意者が挙げられます。

最判昭43.8.2の判例を確認します。

 甲が乙から山林を買い受けて二三年余の間これを占有している事実を知つている丙が、甲の所有権取得登記がされていないのに乗じ、甲に高値で売りつけて利益を得る目的をもつて、右山林を乙から買い受けてその旨の登記を経た等判示の事情がある場合には、丙はいわゆる背信的悪意者として、甲の所有権取得について登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者にあたらない。

最高裁判所 最高裁判所判例集 裁判要旨

 所有権確認請求事件の登記の欠缺を主張する
ことができない、いわゆる背信的悪意者に
あたるとされた事例です。

背信的悪意者は、第三者に当たらない人で
あるため、登記を備えなくても所有権の
取得を対抗することができます。


これとは違い、 「背信的悪意者からの
転得者
」の場合、登記を備えなければ、
所有権の取得を対抗することはできません。

 所有者甲から乙が不動産を買い受け、その登記が未了の間に、甲から丙が当該不動産を二重に買い受け、更に丙から転得者丁が買い受けて登記を完了した場合に、丙が背信的悪意者に当たるとしても、丁は、乙に対する関係で丁自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもって乙に対抗することができる。

背信的悪意者と背信的悪意者からの
転得者は、セットで覚えておくと
良いです。


3.まとめ

詐欺取消し前、詐欺取消し後、
解除前、解除後、
時効完成前、時効完成後、
これらの時に登記がどうこうよりも
まずは、第三者に当たるのかどうかを
判別できることが大切になってきます。

いくつかあるとは思いますが、宅建試験の
過去に出題されたものさえ押さえていれば
とりあえずは戦えると思います。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?