
#164 行政書士試験合格へ 記述暗記ノート(民法・物権③(占有権))編
「占有の性質の変更」について記述
できなくても行政書士試験に合格
することは可能だと思います。
1.「占有の性質の変更」はニッチな所…
平成27年度行政書士試験記述(民法)では、
「占有の性質の変更」が出題されました。
(占有の性質の変更)
第185条 権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有の性質は、変わらない。
権原の性質上、所有の意思がない占有者
(他主占有)が、自主占有に変わる場合が
問われていました。
①所有の意思があることを表示
②新たな権原により更に所有の意思を
もって占有を始める
民法185条にある通り、①②を書けば
点数がもらえるものでした。
(①は問題文に書かれていたので、
②のみを解答すればよい問題でした。)
2.「占有の性質の変更」は書けなくてOK!
・・・まず書けません。
平成27年に出題された時点でそれよりも
以前に択一での出題もない所だったので、
条文を読んだことすらない受験生もいた
のではないかと思われるものでした。
この過去問から、
「全条文に目を通さないといけない!」
となってはいけません。
民法第二章の「占有権」は180条から
205条までありますが、押さえるべき点は
いくつかあります。
*占有権の章ではありませんが、178条の
動産物権変動も含めて押さえるところに
なります。
・4つの引渡し方法
・即時取得
・占有訴権
この3つについて押さえる必要があります。
3.「占有改定」は本当に引渡し?
「4つの引渡し方法」
①現実の引渡し(182条)
②簡易の引渡し(182条)
③占有改定(183条)
④指図による占有移転(184条)
記述で出題されるなら③か④だと思うので、
条文を暗記し、模試で出題された③④に
関する問題も暗記ノートに書き写して
暗記していました。
(占有改定)
第183条 代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。
(指図による占有移転)
第184条 代理人によって占有をする場合において、本人がその代理人に対して以後第三者のためにその物を占有することを命じ、その第三者がこれを承諾したときは、その第三者は、占有権を取得する。
4.「即時取得」は何度も出題される…
「即時取得」は平成25年に既に出題されて
いるので、再度出題されるにはもう少し
期間を空けてからになるとは思うのですが、
仮に令和6年度に出題されるのであれば、
194条しかないですし、択一でも頻出の所
なので、入念にやっていても良い所だと
思います。
*平成25年度試験は193条からの出題
(即時取得)
第192条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
(盗品又は遺失物の回復)
第193条 前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。
第194条 占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。
5.似ている所は出題されやすい!
「占有訴権」は
・占有保持の訴え(198条)
・占有保全の訴え(199条)
・占有回収の訴え(200条)
この3つがありますが、私は3つであれば
どこから出題されても良いように暗記
ノートに書いて備えていました。
択一でもあまり出題されませんが、
「似ている所は出題されやすい」
という行政書士試験の特徴から、
押さえるようにしていました。
(占有保持の訴え)
第198条 占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。
(占有保全の訴え)
第199条 占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。
(占有回収の訴え)
第200条 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
2 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。
6.まとめ
「占有権」にはいくつかポイントが
ありますが、185条の「占有の性質の
変更」以外に押さえるべきところが
いくつもあります。
いわゆるニッチな所を勉強するのは、
趣味でしかありません。
行政書士試験に合格するためには、
ポイントであろう所を1つずつ確実に
押さえていくことが大切になってくると
思います。