ずっと、使い続けられる漆作品を届けたい 伊藤奈津美
こんにちは!note更新担当のたぬ子です。
今回は、西条の和紙!今治の猪革!!を使って、漆作品を制作されている伊藤奈津美さんに、お話を伺いました。
みなさんは”漆”と聞いて、何を思い浮かべますか?
たぬ子は、伊藤さんの作品に出会うまで、ぴかぴかのお高~い食器しか思い浮かばなかったです(笑)
みんなのイメージにない”漆”
ー紙胎漆、猪革シリーズ、金継ぎと漆を軸に様々な作品を作られていますが、どれに重きを置いて活動されていますか。
元々、日用品を作りたくて始めたのが、アクセサリーです。
漆作品は、使うほどに手の脂で磨かれて艶が出るので、その性質を活かして手に触れる機会の多いものをメインにできたらいいなって。
マットな感じの仕上がりが好きで、漆の経年変化を楽しめるように作っています。
金継ぎは、陶芸の学校に通ってる時に、私が漆をやってるっていうので、知り合いから修理の依頼があって、それを今も続けてるって感じですね。
作品づくりも金継ぎも、並行して続けられたらいいなと思っています。
ー金継ぎは修理のみですか。
そうですね。作品づくりとは、全然別の作業になります。
ー紙胎漆で型をとるのは、珍しい方法なんですよね。
みなさんがイメージされる”漆器”ではない、クラフト寄りのラフなものを作りたいと思って、作り方も自己流でいろいろと試しているところです。
日々の積み重ね
ーバッグ完成までに、どのぐらいの期間かかるんですか。
1日1工程しかできないので、お休み合わして2~3ヵ月はかかります。
ーすごく時間がかかるんですね!
紙胎漆製ですが、雨のおでかけに持って行ってもいいんですか。
漆は、耐水性に優れているので大丈夫です。
ただ持ち手は革なので、そっちを気にしないといけないです。
ー大きさは、どのように決められているんですか。
私、手帳を書くのが好きなので、手帳や手帳グッズが入る大きさにしました。ちゃんと自分の手帳を測って作ったんですけど、今は当時より大きな手帳を使っているので、それに合わせたバッグを制作中です。
ーどれぐらいの大きさまで作れるんですか。
中に入れるものが重くなると持ち手が耐えられないと思うので、あまり大きいのは難しいですね。
猪革1枚なんで、重さには気を配るようにしています。
ー持ち手は、今治市で獲れた猪革を使われるんですよね。
はい。私が伯方島に住んでいた時に、大三島で活動している『しまなみイノシシ活用隊』の方に出会って、猪の革を分けていただいているんですよ。
言葉にできなくても、いいじゃない
ー漆の道に進もうと決めたきっかけを、教えていただけますか。
叔父が漆関係の仕事をしていたので、漆器を使うことが多かったんですよ。それで「漆の学校があるよ」ってのを聞いて、興味があったのでそっちの学校に行くことにしました。
ー漆の学校ってあるんですね!?
たくさんは無いんですけど、私は石川県輪島市の学校に通ってました。
四国だと香川に、香川県漆芸研究所がありますね。
ー漆のどんなところに惹かれますか。
漆は、縄文時代から接着剤や塗料として使われているので、そういう歴史を感じるところも、魅力の1つかもしれません。
私の中には惹かれるところや、好きなところ、いいところがたくさんあるのに、全てを言葉にするのは難しくて、なかなかうまく伝えられないですね。
ただ、強く惹かれるんです。
ー漆は、何色ぐらいあるんですか。
漆用にではないんですけど顔料があるので、それを茶色透明の漆に混ぜていろんな色を作ります。
これは(下写真)白漆なんですけど、元の漆が茶色っぽいので、これ以上白くならなくて、ちょっとベージュがかってるんです。
ー他には、どんな色があるんですか。
これは、チタン粉末を混ぜて白にしてるんですけど、弁柄を混ぜて赤茶にしたり、鉄粉を混ぜて黒にしたりします。
私は深い色に惹かれるので、自分でも漆の深みを活かせる作品ができたらいいなと思っています。
便利な都会よりも、心地のよい愛媛
ー愛媛県の良さを教えていただけますか。
食べ物が美味しくて、気候も温暖で住みやすい。
クリエイティブな仕事をしている身からすれば、外からの刺激は少ないですけど、私は黙々と作っていたいタイプだったので、こっちの方がいいなあと思っています。
県外に出てたんですけど、「愛媛の柑橘や、お魚食べたいなあ」って思って帰ってきちゃいました。
主人は関西出身なんですけど、私が「どうしても愛媛に帰りたい!」って言うので、一緒に来てくれましたね。
絵しりとり みみずく ⇒ く○
ー最後に、絵しりとりお願いします。
「く」ですかあ。あれにします!
ーあれと言えば、ホットケーキ焼いてるイメージですね。
じゃあ、ホットケーキも描いちゃいます!
とっても素敵なアトリエで取材させていただきました!
金継ぎの作業を見せていただいたんですが、ぴったりと破片がお皿にくっついて、まるでマジックみたいでした。
伊藤さんは、noteやTwitterで作品情報を発信されているので、チェックしてみてください!
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