WISHING 11/20/22 いまだに緊急事態気分が抜けない人達へ~(その2)ワクチンによる致死率低下の見落とされている理由
一般に、中和抗体がワクチン防御の重要な役割を担っていると信じられている。
ところが、最近、ワクチン接種によってオミクロンに対する中和抗体が産生されなくても、オミクロン BA.1 による入院を70〜85%減らしたとする報告が南アフリカから発表された。
CD8T細胞は、ウイルス感染細胞を認識し排除する役割を担っている細胞性免疫の細胞で、感染症の重症化防御において、抗体反応よりもずっと大きな役割を担っていると考えられている。
オミクロンに対する中和抗体を作らないワクチンを接種した後、アカゲザルの鼻腔および気管内に高用量のオミクロンウイルスを感染させた。
中和抗体が存在しないにも関わらず、投与後4日目までに鼻腔および気管支や肺の中のウイルスは迅速に制御されていた。
ウイルス投与前にワクチン接種動物に抗CD8αまたは抗CD8βモノクローナル抗体を投与して、CD8T細胞の働きをブロックすると、鼻腔でも気管支・肺でもウイルスレベルはより高くなった。
以上のデータは、細胞性免疫の一部であるCD8T細胞が、コロナワクチンによるウイルス防御に大きく寄与していることを実証している (1129)。
ワクチン接種後、時間とともに抗体価が低下しても、細胞性免疫記憶は失われない。そのため、集団に対してワクチン接種件数が増えれば増えるほど、集団のもつ細胞性免疫効果は強化・累積していく。その結果、集団としての入院率、致死率、死亡率は必然的に低下する。事あるたびに病床数確保の大号令をかけようとする相変わらずの発想が不合理である理由である。
(1129)
https://www.science.org/doi/10.1126/sciimmunol.abq7647
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?