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WISHING 05/17/23 下水監視によるウイルスモニタリングの勧め

返された試験結果を、きちんと復習する凡人はいない。

100年に一度の苦労を生き抜いたところで、別にヒトが利口になるはずもなく、相変わらずの空っぽの空気に包まれている。

コロナの地域レベルの集計が中止され、医療機関や検査機関からの検査データが要求されなくなった。また、無料検査が縮小された。米国では自宅での検査に移行するにつれて信頼性が低下した公式の症例数は、さらに現実から遠ざかる。

過去3年間、下水監視は繰り返しその価値が証明された。下水に含まれるウイルス濃度の急上昇は、患者数の急増を早期に警告し、当局は患者数の流入に備えることができた。死者数や入院者数は遅行指標であるが、排水は当局と一般市民の双方にとって、重要な早期警報システムであり続ける。

下水サンプリングは、新しいウイルス株がいつ特定の地域に到着したかを判断するのに役立った。

C.D.C.が2020年後半に設立した全米廃水サーベイランス・システムには、現在、50州、3つの準州、12の部族コミュニティに分布する1,400以上のサンプリングサイトのデータが含まれており、米国人口の40%以上にあたる約1億3800万人をカバーしている。

具体的には、ヒューストン市では現在、大規模な廃水監視インフラを有しており、市内にある39の廃水処理場すべてから毎週サンプルを収集するとともに、個々の学校、避難所、老人ホーム、刑務所からもサンプルを収集している。

課題もある。 多くの人がウイルスに対する免疫を獲得している現在、廃水中ウイルス濃度が急増しても、必ずしも入院数が増加するとは限らない。また、すべての変異株が排水から同じように検出されるかどうかは、わかっていない。

排水中に新たな変異株が発見されたからといって、必ずしも問題が起こるとは限らない。例えば、2021年以降、全米の廃水サンプルから数十の珍しい変異株が発見された。それらは、おそらく長期にわたるコロナウイルス感染症の患者から発生したものだろうと考えられている。しかし、それらは必ずしも地域で拡散しなかった。

関係者は、他の可能性も探っている。例えば、C.D.C.の旅行者ゲノム監視プログラムの一環として、ボストンに本社を置くバイオテクノロジー企業Ginkgo Bioworks社は、現在サンフランシスコ国際空港の国際線ターミナルに着陸する飛行機の排水サンプルを検査している。

下水監視を維持するためには、長期にわたって継続的に資金を提供する必要がある。また、しだいに関心を失っていく地元当局からの継続的な支持も必要である。

コロナに加えて、インフルエンザや他の感染症を含めて、下水サーベイランスの継続的な有用性が証明されることが望まれているが、その形はまだ完成されていない。

このように、下水サーベイランスという科学的な進歩とその実用化に対して積極的に動き続けた科学立国がある一方、マスクをつけるのつけないのと雰囲気だけで多数決やって遊ぶだけで何も学ばなかった国の人々には、3年間で証明された、せっかくの価値ある科学的プロジェクトなど、まるで顧みられることはないだろう。

残念。

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