東京都太陽光パネル設置義務化検討で考える家と環境のはなし
2022年9月5日、このような報道がありました。
太陽光パネル義務化25年施行へ 東京都、一戸建ては全国初:東京新聞 TOKYO Web
まだ条例案の段階なので、決まったわけではありませんが、なかなかセンセーショナルなニュースですよね。そしてまだ詳細決まっているわけでありませんが、私が把握している情報内では、「一部の大手ハウスメーカーの全体の新築住宅に対する一定目標に対する設置(努力)義務」という形になりそうで、議論になりそうな「日当たりの悪い家でもつけるんか」という話は筋違いというのはお伝えしておきます。
また、それに対する補助金もセットの条例になるはずなので、消費者に対する費用負担は限定的になると思います。(もちろんその予算は都税ですし、メンテナンスコストはどうなんるんだ、という点もありますが)
私は太陽光発電やパネルの専門家ではないのため、詳細な数値などは洗いませんが、基本的なスタンスはこの政策いかがなものかと思っています。というのも、まずは発電よりも消費のほう、もっと住宅の断熱・省エネ性能の方に注力をおくべきと思っています。
東京都政としてのKPIがカーボンハーフ(2000年時の全体電力使用に対して2030年までに50%を脱炭素エネルギー発電でまかなう目標)のため、どうしても発電のほうが意識的になってしまうのが目標設定としていけてなさそうです。
日本の環境は冬さむく夏あついということで、外気との遮熱性を上げるような建築によって、エアコンの消費量は下がり、利用電力が減る。このほうが環境のためなんじゃないかと思います。太陽光パネル作るのにも電力使うわけですし。
ガバガバ断熱性能
そもそも、日本の戸建てはガバガバなんです。
こちら1992年築なので、今のはもっと良いかと思いますが、冬は58%の熱が出ていき、夏は73%熱が入ってくる。これは先進国でも最低レベルであると言われています。
そんな日本の断熱性の低い家に対しては、本年2022年4月に「建築物省エネ法改正案」が成立され、こちらも2025年からの施行予定となっています👏
国土交通省 2025年度からの住宅の省エネ基準適合を義務化 建築物省エネ法改正案を閣議決定
ただ、上記の表でわかるように、これから建つ年間の新築で建てられる家より、すでに建っている既存住宅のほうが数はあるはず。穴の空いたバケツ状態の住宅がたくさんあるなかで、水を入れる量を同行しようというよりは、既存住宅の穴を塞ぐほうが先決ではないでしょうか。どうしても、ロビー活動が強い住宅大手企業の意見が通ってしまうのか。
冷たいアルミサッシ
具体的には、安いものの耐熱性が低いアルミサッシの利用を禁止し、耐熱性が高い樹脂サッシの利用を義務化するべき。かつ、これから建てる住宅だけではなく、既存住宅に対するリフォームに補助などを出して取替促進していくほうが環境に対するポジティブな施策だと思っています。
日本では樹脂窓は、主要国に比べて普及率は大きく低い。理由は価格高さと、賃貸住宅の多さでしょう。
樹脂サッシはアルミサッシの2倍の価格と言われており、いかにコストを下げるかが重要な賃貸住宅では、多くがアルミサッシ。内見時にそこまで気にする人もいませんもんね。一方、分譲マンションでは樹脂サッシが採用されていることが多いです。
先程の熱の出入りの図でも、ほとんどの諸悪は窓です。なんと樹脂サッシとアルミサッシでは、伝熱性能が1000倍も異なる!都市部であっても、断熱性の高いサッシ・窓を利用している家はそうでない場合に対して20%以上光熱費が抑えられるそうです。
これは戸建て・マンションどちらかに限った話ではないので、戸建て・マンションどちらに対しても、(新築住宅のみならず)既存住宅に対して樹脂サッシリフォームをサポートしていくことが、地球温暖化防止の強い打ち手になっていくと思います。
サッシ、見るべし。
太陽光パネル設置義務化をきっかけに、家のエネルギーを考えるきっかけになりますが、では消費者観点は何が大事か。それは、そう、サッシを見るべし。です。ちなみに、マンションにおける窓とは、専有共用部ということで、リフォームを自分だけでは変えられないものです。(内窓をつけることができます)
仮に、築古のマンションでも、樹脂サッシである場合、また大規模修繕で変わっている住宅もあります。これは広いもので、住心地が大きく変わってきます。
ちなみに私は、過去築47年のマンションを買いましたが、居住中に大規模修繕でアルミサッシから樹脂サッシ+複層ガラスに変わりました。本当に驚くほどの断熱性と遮音性を感じ、窓の重要性を知りました。
もし、購入でも賃貸でも、住宅えらびに悩んだら、ふと窓とサッシをチェックしてみましょう。
それではまた。