ハバナのひとよ①
「会いたい気持ちが…🎶ままならぬ…🎶」
そう呟くと会社用携帯を機内モードへ切り替え、軽快な足取りで浜松駅へ向かった。
今日と来週月曜に有給休暇を取得し、
""極上島""(北海道です)への旅を敢行するのだ。
私にとっての北海道は、
記憶のない赤ん坊のころに両親に連れられて以来の2回目だが、実質初めてといったところ。
目的は、前回伊勢佐木町公演にて共演した、
同業の""ハバナからきてくれたお兄さん""に会うため。
札幌市内を""シマ""とする彼に、
行きつけの店店を案内してもらおうという魂胆である。
期待に下半身をムクムクと膨らませながら、高速バスに乗り込んだ。
バスが出てからは持参した小説をパラパラとめくっては、
少し車酔いしたと目を瞑ったりウトウトしたりを繰り返していると、
気づいた時には常滑とかいうナメた街に着いていた。
今回は格安航空peachという航空便に乗る。
1~3月の観光ピークを避けたこともあり、往復で約25,000円の運賃。
新幹線で大阪と浜松を往復するのとさほど変わらないときたら、行くしかないだろう。
一人の航空旅行も3回目となると手慣れたものである。
今回もサクッと搭乗手続きを済ませ、
偉そうな案内員の女から冷淡な指示を受けながら指定された席へと足取りを進める。
アナウンス役の客室乗務員は愛想がなく、
茶髪混じりのボブカットと顔面レベル感が中華エステにいそうな嬢だな~🤔と
カスみたいなことを考えていたら、
機体は北の大地へと飛び立とうと離陸体勢に入っていた。
高度をぐんぐんと上げる機体が安定空域に入り、
機体が落ち着いてきてからはYouTuberオフライン保存をしておいた
エグい美人たちのASMR動画をみては最悪な睡眠をとった。
離陸から1時間経ったころだろうか。
窓の外をみると、
本州周辺の空域を出て北の大地へとぐんぐん距離を縮めていく自機の翼がみえた。
「もうすぐ、もうすぐなんだ。」
すべては北の大地で全てを欲しいままにするため。
そのために今週の仕事を(ややいい加減に)終わらせてきたのだ。
新千歳に到着し、
きりりと冷えた北の大地の風に包まれた私は、
「ハバナのひとよ/鶴岡雅義と東京ロマンチカ」を口ずさんでいた。
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