Nikon S2
亡くなった父が使っていたカメラ。
確か、僕が小学四、五年生になるまで、このカメラで家族の写真を撮っていた記憶がある。
精緻で頑丈な作り。持ち上げると金属の香りがほのかに漂う。ジャッというシャッター音には得も言われぬ迫力が。
一方で、レンジファインダーの合焦像はしゃっきりしないし、完全機械式だから露出計にも頼れない。
なのに、父が遺した写真はどれもピントが合っていて、露出も適正だった。
生きていれば、どうしてそんな風に撮れたのか訊いてみたい気もするが、澄まし顔のまま何も答えてくれないかも。